複雑・ファジー小説

Re: 光の堕天使 〜聖なる力を持つ堕天使の物語〜 ( No.224 )
日時: 2011/10/01 11:12
名前: 水月◇51watelmoon16 (ID: SuDcL78Z)

—夜—

一人の男が、懐中電灯を持って暗い森の中を歩いていた。
その男の名前はライ。天使界にある病院の院長をしている。

彼は今、森の中を歩きながら誰かを探していた。
なぜかというと……。

二時間前

ライが病院で書物を読んでいると、

ドゴッ!!

ドガッ!!

誰かを殴る音と、

「がはっ!!」

その誰かのうめき声が聞こえた。

ライは立ち上がり、窓の外を見る。
そこに映っていたのは、複数の男が一人の少女に暴行をしている光景だった。

「た、大変だ!!」

その光景を見たライは慌てて、その少女を救いに向かった。
そして、今に至る。

病院から、森の中心の『広場』と呼ばれる場所までは二時間もかかる。
なので、彼は森の小道を走っていたのだが、疲労が来たからか広場まで歩いている。

(……あの子は……一体どこに……。)

ライはそう思いながら、少女を探していた。

やがて、彼は大きな広場に出た。

木が周りを囲んでおり、草原が風で揺れている。
そして、真ん中には世界樹が立っていた。

ライはその神秘さに圧倒されながらも、その少女を探す。
しばらく探しているうちに、ライは一つの人影を見つけた。

ライはその人影を、懐中電灯で照らす。

すると、

「!!」

ライはその人影の正体に驚き、後ずさりをした。
そして、もう一度懐中電灯でそれを照らした。

彼が持っていた懐中電灯の光に照らされていたのは—…全身が傷だらけで倒れているルエの姿だった。

ライは懐中電灯を放り投げ、ルエに駆け寄る。

「大丈夫ですか!? しっかりしてください!!」

だが、いくら呼んでもルエは反応を見せない。
おかしいと思ったライは、ルエの胸に手を当てる。

すると、

「!?」

ライは驚き、目を丸くする。
彼の全身の血の気が、一瞬にして引いた。
そして、ライはその驚きを隠せないまま、震える声で呟いた。














「……息……してない……!?」














このままでは、確実に死んでしまう。

そう確信したライはルエの体を抱きかかえると、全速力で走って行った。



第二章「悪魔族 襲来」fin