複雑・ファジー小説
- Re: 光の堕天使 キャラクター投票開始!! ( No.245 )
- 日時: 2011/12/11 12:33
- 名前: 水月◇51watelmoon16 (ID: SuDcL78Z)
「……あなたは?」
ルエが尋ねると、その声の主はルエの目の前に現れた。
外見は十八歳ぐらいで、星のように輝く黄色のロングヘアーに澄んだ黒い瞳をしている。
その人は、ルエを見てにこりと笑うとこう言った。
「私はスターシュ。星神です。」
「ほ、星神様!?」
ルエは慌てて片膝を立て、跪く。
「申し訳ございません……。とんだご無礼を……。」
ルエが謝ると、星神—…スターシュはクスリと笑ってルエに手を差し出す。
そして、優しげな声でこう言った。
「お立ちなさい、ルエ。私はあなたの願いを叶えに、ここに来たのですから。」
ルエは、その手を掴んで立ち上がる。
そして、スターシュが言った『願い』に疑問を抱いたのか、スターシュにこう言った。
「願い……ですか? 私には、願いなど……。」
「いいえ。私は確かに、あなたの願いを聞きました。
あなたはそこにいる……。」
と言いかけ、スターシュはアリー達に目を向けるとこう言った。
「あなたのお友達に復讐したい……。そうですね?」
「!!!」
ルエは驚き、その場に固まる。
心を読まれていたのだ、完全に。
(心を読まれている!?
何で? 女神様以外の者達は、そんな事出来るはずが無いのに……。
……いや、星神様は例外だ。
星神様も女神様と同じように、心を読むことが出来るんだった。)
心中でそう呟いたルエは、真っ直ぐにスターシュを見つめる。
そして、スターシュにこう言った。
「星神様……。……願いを叶えると、言いましたよね? その話、本当ですか?」
「ええ、本当です。お望みとあらば、いくつでも叶えて差し上げます。」
「先ほどにも言ったように、私には願いなど……。」
そう言って目を逸らすルエにスターシュは近づき、ルエの耳元で囁く。
「あなたのお友達に、復讐をしたいのでしょう?」
「!!!」
「さあ、ルエ。願いを言いなさい。」
スターシュにそう促され、ルエの瞳から光が消える。
そして、無意識に願いをスターシュに言った。
『あいつらに……復讐したい。』
「その願い、聞き入れました。」
すると、スターシュは一瞬にして姿を消した。
そして、今度はルエの頭からこう言った。
『呪文を唱えなさい。そうすれば、あなたに新たな力が宿ります。』
「新たな……力……。」
『その力を手にして、忌わしき者達を倒すのです。』
「分かりました。」
ルエは深く目を閉じ、呪文を唱える。
「汝 静かなる時に黒い朱鳥は飛び立てよ
剣を鍛える水が地に堕ち それが下界を破滅させるとしても気高き闇は動かん
漆黒の剣よ 我にその気高き力を与えよ」
呪文を唱え終わったルエが目を開けると、彼女の右側に漆黒の剣が刺さっていた。
『さあ、ルエ。その剣で、彼らに制裁を下すのです!!』
ルエはスターシュの声に従い、床に突き刺さっている漆黒の剣を抜く。
すると、
ドクン
と、心臓が音を立てて大きく跳ねたかと思ったら、漆黒の剣に纏わりついている闇の力が、ルエの体内に取り込んできた。
「!? ……う、ぐぁ……。」
ルエはその力に苦しめられ、剣を地面に突き刺し片膝をつく。
その音を聞いたアリー達は、一斉にルエの方を向く。
そして、苦しんでいるルエに目を丸くした。
「……ルエ、体が……。」
アリーは、怯えながらルエに言った。
そんな彼女の瞳には、恐怖が宿っていた。
ルエは、言われた通りに自分の両手を見る。
そして、その色にゾッとした。
「……手が……黒い……。」
黒いのは、手だけじゃなかった。
足や天使の光輪、さらには顔の一部までもが、真っ黒に染まろうとしていた。
「……何、これ……。」
ルエは、床に移っている自分の姿を見てさらにゾッとする。
手足と天使の光輪、顔の一部は既に真っ黒に染まり、その色は彼女の胸に向かって進んでいた。
まるで、全てを闇に変えようとするかのように。
「!! ……う、ぐ…………ア、リー……。」
ルエは苦しみに顔をゆがめながらも、アリーの名を呼ぶ。
そして、彼女にこう告げた。
「……に、げろ……。」
アリーは涙目になりながら、ルエに叫ぶ。
「出来ないよ!! ルエを置いて逃げるなんて!!」
「……私の事はいい。……だ……から……早く……うぁ!!」
ルエは闇の力に耐えられず、その場に片手をつける。
今の彼女は、もう立つことも出来ない状態だった。
「ぐあぁ!! ……く、うぅ……ぐぅ!! ……う、ぁ……。」
ルエの全身は、闇の力によって真っ黒に染められた。
と同時に、ルエの視界がぼやける。
彼女は今にも倒れそうだった。
薄れゆく意識の中、ルエはアリーにこう言った。
「……逃げるんだ……アリー……。」
その瞬間、ルエの視界がぐらりと傾く。
そして、そのまま床に倒れた。
—アリーの叫びも、届かないままに。—