複雑・ファジー小説

光の堕天使 ハロウィン編 ( No.276 )
日時: 2011/11/05 23:29
名前: 水月◇51watelmoon16 (ID: SuDcL78Z)


十一月のある夜、ルエが部屋で読書をしていると……

バンッ!!

という音を立てて、扉が勢いよく開いた。

そして、ルエの部屋に入ってきたアリーが大声で言う。

「trick or treat!! お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ!!」

アリーの明るい声に、今まで本に目を向けていたルエが顔をあげる。
彼女は呆れ顔をして、アリーにこんなことを言う。

「アリー、ハロウィンはとっくに過ぎてるぞ。」

「だって作者が風邪を引いたから、ハロウィンが出来なかったんだもん!!」

「はいはい、すいませんね。」

「作者、あんたは黙ってろ。」

アリーに謝った作者に、モナカが突っ込むようにして黙らせる。

作者はというと、怒って頬を膨らませていた。

「で、お前たちにお菓子をあげればいいんだろう?」

二人の会話を聞いた後、ルエは読んでいた本を閉じて、アリーに問う。

だが、アリーは人差し指を左右に振って、笑みを浮かべるとこう言う。

「チッチッチ。甘いね、ルエ。今回はそうじゃないんだ。」

「?」

意味が分からない、という風にルエが首をかしげる。

アリーはそんなルエの手を握ると、笑顔で言った。

「ルエも誘おうと思って、ここに来たんだ!! 一緒にハロウィンを楽しもうよ!!」

そんなアリーの言った事にルエは意外そうに目を見開くと、クスッと笑って言った。

「……分かった。もうハロウィンの日は過ぎてるけど、一緒に楽しもう。」

「本当!? やったー!!」

アリーは嬉しさのあまり、ルエに飛びつく。

ルエは少したじろいだが、アリーが喜んでくれたのか、嬉しそうな顔をした。

そんな二人を、作者とモナカは何度も頷きながら見つめていた。