複雑・ファジー小説

光の堕天使 ハロウィン編 ( No.288 )
日時: 2011/11/20 19:14
名前: 水月◇51watermool16 (ID: SuDcL78Z)


—in 星界—

「ここが……星界……。」

結界を突破したモナカが、ふと呟く。

「なんか神秘的なところだね……。」

作者が周りを見渡しながら言うと、アリーが星界のことを説明してくれた。

「星界は、役目を終えた天使、堕天使、悪魔の魂が来る場所なんだ。
神秘的なのは、その魂がふわふわと浮いているからなんだって。」

「へぇ……。」

「さて、雑談はそこまでにして、早く行こうか。」

ルエがそう言うと、三人は頷いた。
そして、一斉に星神の部屋へと走って行った。

—星神の部屋・玄関前—

「先ほどにも言ったように、星神様には敬語を使う事! いいな?」

「分かってる! 星神様は、女神様と同じくらい偉いからね。」

「ねぇ、星神様に会ったらどうすればいいの?」

作者が尋ねると、ルエは作者にこう言った。

「片膝を立てて、手を胸の前において跪くんだ。皆、そうしてるからな。」

「しなかったら、どうなるの?」

「うーん……。しなかった者は一人もいなかったから、詳しくは知らないな。」

「そっか。」

「二人とも!! 喋ってないで、早く行こうよ!!」

アリーがそう促すと、二人は「そうだね。」と言って、お互いに頷きあった。

「じゃあ、行くよ。」

モナカがそう言って、星神の部屋の扉を開ける。

そして、

「trick or treat!! お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ!!」

と、叫んだ。

すると、星神—…スターシュはモナカの方を向いて言った。

「モナカ、ハロウィンはとっくに過ぎていますよ? それに……。」

と言いかけ、スターシュは視線をあげるとこう言った。

「ルエ、アリー、そして作者。あなた達がいることは分かっています。入ってきてはどうですか?」

モナカが扉の横に来ると、そこからルエ、アリー、作者が入って来た。
そして四人は、スターシュの前に跪いて、言う。

「「「「星神様、これには事情があります。」」」」

「事情……ですか。話してみなさい。」

「実は……。」

作者がスターシュにその事情を話すと、スターシュは頷いてこう言った。

「なるほど……。作者、あなたが風邪を引いていたから出来なかった……、そういう訳ですね。」

「はい。ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。」

「ふふ、まあいいでしょう。お客様も来ていますしね。」

「お客様?」

「来なさい、ダスト。」

すると、スターシュの部屋の左側にある扉が開き、そこから背の高い男性が出てきた。

黒髪を一つにまとめ、黄色の瞳をしているその男性は、ルエ達を見るとぺこりと頭を下げた。
そして、簡単に自己紹介をした。

「俺はダスト。スターシュが言っていたお客様だ。よろしく。」

すると、ルエは何か疑問に思ったのか、ダストに問うた。

「あの……何で、星神様に敬語を使わないんですか?」

それを聞いたダストは、「ああ、そういえば言ってなかったな。」と呟いた後、ルエ達にこう言った。

「俺は、スターシュと同じ星神なんだ。だから敬語は使わないんだ。」

「……。」

数秒間、沈黙が続く。
その沈黙を、スターシュの声が破った。

「あなた達にはまだ、言ってませんでしたね。
ダストは私と同じ星神なんです。私のサポートをしているんですよ。」

「そうなんですか。」

ルエ達がその事に納得した後、スターシュは立ち上がり、

「そういえば、お菓子がまだでしたね。取ってくるので少し待っててください。」

そう言って台所に行こうとするが、

「あ、俺が取ってくる。」

ダストが、代わりに台所へと行ってしまった。

(優しい奴やな……。by作者)

しばらくして……

彼は、台所からお菓子がいっぱい入った籠を持ってくると、アリーにそれを渡してこう言った。

「お菓子だ。ハロウィン、思い切り楽しめよ。」

「「「「ありがとうございます! それでは。」」」」

—天使界—

「……まさか、星神様が二人もいたなんて……。」

星界から出た後、ルエは驚きを隠せないまま呟く。

「でもまあ、お菓子がもらえたからいいんじゃない?」

「そうだね。で、次は?」

「いろいろ家を回る!!」

「そうしよっか!!」

「じゃあ、二手に分かれてお菓子を集めようか。」

「「「賛成!!」」」

ルエとアリーは東の方を、作者とモナカは西の方に分かれて行った。

—数十分後—

「どう? お菓子は集まった?」

森の真ん中に集まったアリーが言う。

「たくさん集まったよ!!」

モナカはそう言って、お菓子がいっぱい入った三つの籠を置く。

「ルエ達は?」

作者がルエ達に尋ねると、ルエとアリーは四つの籠を置いた。

「うわぁ……。ルエ達の方が、わずかに籠の数が多かったね。」

「作者、これは勝負じゃないんだぞ……。」

ルエはそう言って、苦笑した。

「じゃあ夜も遅いし、そろそろ帰ろうか。」

アリーがそう言うと、三人は同時に頷いた。
そして、ルエとアリーは寮へ、モナカと作者は自分を待っている家へと帰って行った。



—光の堕天使 ハロウィン編 fin—