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複雑・ファジー小説
- Re: 光の堕天使 〜聖なる力を持つ堕天使の物語〜 ( No.292 )
- 日時: 2011/11/23 22:11
- 名前: 水月◇51watermool16 (ID: SuDcL78Z)
「!! ……ルエ……!? ……何で……?」
「アリー……もういい……もういいよ……。
もう何も……言わなくていいから……。」
ルエはアリーを抱きしめたまま、震える声で言った。
止めどもなく溢れた涙が、ルエの頬を濡らしていた。
すると、ルエにとりついていた闇の力が少しずつ薄れていき、ルエの体は元に戻ろうとしていた。
だが、
『殺せ……!! 殺せ……!! 何もかも、全てを殺せ!!
全てを殺すまで、闇は消え去りはしない!!』
という声が、ルエの頭の中に響いた。
「……まだ……残っていたか……。」
ルエはそう呟くと、そっとアリーから離れる。
そして、床に落ちている剣を拾うと、それを横に持った。
「……ルエ……?」
アリーが心配そうに尋ねると、ルエは顔をあげてこう言った。
「アリー、よく聞いてくれ。
私はできるだけ、この闇の力を消滅させる。
だからお前は、ここから遠くへ逃げてくれ。」
「でも、ルエは……?」
「大丈夫だ、すぐに追いかける。」
ルエがそう言うと、アリーはルエに向かって歩き出す。
そして、剣を持っている彼女の両手を重ねて言った。
「私も手伝うよ!!」
「……逃げないのか?」
「逃げないよ。だって元々、私がしたことだもん。
それに……仲間を見捨てることなんて、出来ないから。」
その言葉を聞いたルエは、意外そうに目を見開く。
そして、目つきを鋭くするとこう言った。
「分かった。じゃあ、私が持っている剣に向かって呪文を唱えてくれ。
私はお前と同じ呪文を唱えながら、光を使ってこの剣にとりついている闇を消滅させる。」
「分かった、任せて!!」
二人はお互いに頷きあうと、深く目を閉じて呪文を唱え始めた。
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