複雑・ファジー小説

Re: 光の堕天使 〜聖なる力を持つ堕天使の物語〜 ( No.315 )
日時: 2011/12/10 21:56
名前: 水月 ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)


「ラ・ディスケーデ・テネブラエ・ペリト」

「ラ・ディスケーデ・テネブラエ・ペリト」

ルエとアリーは目を深く閉じ、呪文を唱える。
その呪文が剣に伝わるたび、剣に取りついている闇が、渦を巻く。

すると、

『グォオオオ!!』

闇が咆哮を上げて、小さな黒い龍の姿になった。
そして、剣に光の魔法を当てている、ルエの右手に噛みつく。

ガッ!!

「ぐっ!!」

「!? ルエ!!」

アリーは突然の出来事に驚き、思わず目を開ける。
すると、

「目を開けるな!!」

ルエが目を閉じたまま、厳しい声でそう言い放ち、アリーは慌てて目を閉じる。
そして、精神を集中させ、呪文を唱え続けた。

ルエも、アリーと同じように呪文を唱えながら、剣に光を当て続けていた。
すると、

『グァァアアア!!』

黒い龍がうめき声を上げ、剣から離れる。
そして、闇を纏った大きな龍へと姿を変えた。

「なっ……!?」

「……何なの……あれ……。」

ルエとアリーが驚いてそれを見ていると、龍は二人にこう言った。

『我はまだ死なぬ。次会う時は、本気で向かおうぞ。』

そして、龍は黒い粒子となって、消え去った。

「……終わった……のか?」

ルエがそう問うと、アリーは頷いて言った。

「終わったんだよ、何もかも。
元の世界に……帰ろうよ、ルエ。」

「……あぁ。」

ルエとアリーは手をつなぎ、いっそう強くなった光に向かって走り出す。
そして、その前で立ち止まってお互いに頷きあうと、強くなった光の中へと、飛び込んだ。