複雑・ファジー小説
- Re: 光の堕天使 〜聖なる力を持ちし者〜 ( No.383 )
- 日時: 2012/01/06 21:50
- 名前: 水月 ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)
「……ライ……さん?」
「ルエさん……これはいったい……。」
ライはそう言って、ルエに近づく。
すると、
「—っ!!」
ルエがとっさに反応し、光の魔法で作った剣を、ライの首元に突きつける。
そして、ライを睨み付け、低い声でこう告げた。
「ここから出ていけ。出なければ……『殺す』。」
「……ルエさん、落ち着いてください。
私はただ……。」
「黙れ!! ……お前も、あいつの仲間なんだろう?」
「あいつ……? 誰なんですか?」
「とぼけるな!! 質問に答えろ!!」
ルエは剣を突き付けながら、そう言い放った。
そんなルエを見たライは、ルエの剣を握りしめながら言った。
「ルエさん……落ち着いて聞いてください。
私は、今ここに来たばかりです。だから……何も知らないんです。」
すると、光の剣が一瞬で消え、ルエは慌てる。
ライは地面に落ちた椅子を拾い上げ、元に戻すとこう言った。
「なので……話してくれませんか? 今まで起きた事を……。」
その言葉にルエは俯き、黙り込む。
そんなルエに、ライは優しく語りかけた。
「ゆっくりでも構いませんよ。私はいつでも、ここにいますから。」
その時、ルエの瞳から、一筋の涙が『零れ落ちた』。
- Re: 光の堕天使 〜聖なる力を持ちし者〜 ( No.384 )
- 日時: 2012/01/08 21:14
- 名前: 水月 ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)
ルエが流した『涙』は、どんどん溢れ出てきた。
「!? ……な……んで……!?」
ルエは涙を拭おうとするが、それでも止まる事は無かった。
そして、とうとうルエは泣き崩れた。
その出来事に驚いたライが、ルエの傍に寄る。
「ルエさん……大丈夫ですか?」
ライはそう言って、ルエの背中を擦る。
だが、ルエはライの顔を見ずに、首を横に振った。
今まで泣いた事が無かったのか、かすかな嗚咽が漏れ出ていた。
すると、ルエは泣きながら、少しずつ話し出した。
「……ゼ……ルフが……ここに……来て……自分の……過去を……知ってる……って……。」
「……その後は?」
「……また……会いに……来るって……そう……言ってた……。」
「……。」
「……私は……何も……していないのに……な……んで……!!」
ルエはそう言うと、ライに泣き付いた。
ライはそんな彼女を抱きしめ、背中を擦ってやった。
—夜—
しばらくして、ルエは泣き疲れたのか、眠りについた。
ライは、眠っているルエを起こさないように下ろすと、彼女にシーツをかける。
そして、いつの間にか持っていた一冊の本を枕元に置くと、病室を出ていった。
—悲しげな顔を、最後に残して。—