複雑・ファジー小説

Re: 光の堕天使 ( No.525 )
日時: 2012/04/30 17:16
名前: 水月 ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)


—天使界の寮・食堂—

その頃、アリーは何かの気配に気づき、窓の外を見る。

「…何か…あったのかな…?」

その呟きは、誰にも聞こえることなく、儚く消えていった。
すると、

「アリーさん。大天使様、まだ帰ってこないんですか?」

まだ幼いのか、高い声が聞こえた。
アリーがその声のした方に振り向くと、橙色の瞳をした天使が立っていた。

アリーはその天使に優しく声をかける。

「大丈夫だよ、ココア。ルエは必ず帰ってくるって。」

天使—…ココアは明るい笑みを浮かべ、アリーの隣に座って言った。

「そうですね! きっと、何か事情があって、帰ってこられないんですよ!!」

「そうだよ。だから、もう少しだけ待とう。」

ココアの頬を撫でながら、アリーはそう言った。
だが、さっき感じた気配が気になったのか、立ち上がると、

「…ちょっと、行ってくる。」

そう言い残して、走って行った。

「あ、待ってください!!」

ココアも慌てて、アリーの後を追った。

(いくらなんでも遅すぎる…! 結構日が経ってるのに…何かあったの?)

アリーは心中で呟くと、荒々しく寮の扉を開け、そのままにして出ていった。