複雑・ファジー小説

Re: 光の堕天使 ( No.53 )
日時: 2012/01/28 21:27
名前: 水月 (ID: SuDcL78Z)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22124

「この木の実は・・・食べることで、聖なる力を封印できる『呪文』が使えます。だから・・・。」
と、ハープが言い終わる前に院長が割って入ってきた。
「ちょっと待ってください。あなたは、危険を冒してまでルエさんの力を封印しようと・・・。」
「・・・ええ。そのつもりです・・・。」
「「!!!」」
院長とポポは驚愕した。
普通なら、封印せずに子供を捨てていくだろう。
そう思ったのだが、聖なる力を封印してまで、危険を冒してまで子供を守ろうとする・・・そんな親は、ハープが初めてだった。
長い沈黙の後、院長が口を開いた。
「・・・分かりました。では、ロンさんに同じ木の実を渡してください。その後、事情をすべて話してください。・・・ハープさん。」
「?」
「・・・せめて、生きててください。ルエさんもそう思っているはずです。」
「・・・分かりました。」
そう言うと、ペコリと頭を下げ、院長室を出て行った。
「・・・いいんですか?」
ハープが出て行った後、ポポは院長にそう尋ねた。
「いいんです。あの人は、必ずルエさんの力を封印できると、私は信じています。」
「そうですか・・・。」
そう言うと、ポポも院長室を出て行った。
(ルエさん・・・。あなたには、いくつかの試練があります。厳しいかもしれませんが・・・その試練をちゃんと乗り越えてください。)
一人残された院長は、心中でそう呟いた。