複雑・ファジー小説

Re: 光の堕天使 ( No.533 )
日時: 2012/05/16 19:59
名前: 水月 ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)


ルエは走りながら、胸騒ぎがするのを感じた。

(…嫌な予感がする…。どうか無事で…!!)

心の中で願いながら、森を抜けた。

外は森と違って明るく、正面には空が映る。

ルエは二人がここにいないか、辺りを見回す。
すると、

「! キル!!」

傷だらけの状態で倒れているキルを見つけ、駆け寄った。

「おい! キル!! しっかりしろ!!」

自分を天使の姿に戻すのも忘れ、彼の体を揺する。
だが、目覚める気配はない。

「とにかく、あそこの木に!」

キルを背負って近くの木陰に移動すると、淡い光を放った。

(頼む、死なないでくれ…!)

彼女の思いは光となって、キルの傷を癒していった。
それが完全になくなった後、ルエは天使の姿になり、彼が目覚めるのを待つ。

その時、

「ルエ!」

アリーがココアを連れて、ルエの目の前にやって来た。

「アリー! …と、この子は?」

「あぁ、まだ紹介してなかったね。
この子はココア。あなたがいない間、ここに来たんだよ。」

「初めまして! ココアです!!」

ココアはにっこりと笑い、ルエに挨拶をする。
ルエは少し驚いたが、微笑んで、

「初めまして。」

そう返した。
すると、急に闇が現れ、そこから悪魔族達が出てきた。

「! 悪魔族!!」

「一体何しに来たの!?」

ルエとアリーの二人は、すぐに戦闘態勢になる。
ココアも最初は戸惑ったが、二人の真似をして、戦闘態勢に入った。

悪魔族の一人は、三人を嘲笑うかのように言った。

「ほぅ。すぐに武器を構え、俺達にかかろうとする姿勢は素晴らしいな。
だが、こいつを倒したら、相手になってやるよ。」

そう言った悪魔族の目の前に、また闇が出てくる。
そして、闇に憑りつかれたホルンが、ルエ達の目の前に現れた。

Re: 光の堕天使 魔物募集!! ( No.534 )
日時: 2012/06/02 16:17
名前: 水月 ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)

「嘘…。ホルン?」

ルエはホルンの異変に戸惑い、名前を呼ぶ。
彼女の瞳には光が無く、無感情のまま、ルエを見つめていた。

アリーもココアも、どうしたらいいか分からず、困惑する。
その時、ルエの低い声が聞こえた。

「…ルンに。」

「? ルエ?」

「大天使様?」

二人は訝しげにルエを見る。
彼女の瞳には、怒りが表れていた。

「ホルンに…私の妹に何をしたああぁぁぁぁぁぁぁ—————!!」

声を荒げて叫び、ルエは悪魔族に襲い掛かった。

「!? ルエ、落ち着いて!!」

アリーの言葉も無視して、悪魔族の一人に剣を振り下ろす。
だが、ホルンによって攻撃は塞がれ、ルエはそのまま後退する。

まだ怒りが静まってはおらず、悪魔族を睨みつけていた。
そんなルエに、アリー達が駆け寄った。

「ルエ、どうしたの!?
気持ちはわかるけど、そうしたら相手の思うつぼだよ!?」

「黙れ!! ホルンは大切な妹だぞ!?」

アリーが宥めようとするのに対し、ルエは声を荒げて怒り、彼女を睨む。
すると、

「大天使様、アリーさん! 私に考えがあります!!」

ココアの言葉に、ルエとアリーは首を傾げる。
彼女達を近くに寄らせ、ココアは話し始めた。

「私が悪魔族を引きつけますから、その間にホルンさんを助けてあげてください!」

「えっ!? だめだよ、危険すぎる!!
まだまだ力不足だし、一筋縄ではいかないんだよ!?」

「大丈夫です! 任せてください!!」

ココアはそう言って、森の方に行ってしまった。

「…大丈夫かな?」

「大丈夫だよ! あの子はやってくれるって!!」

怒りが静まり、ココアを心配するルエに、アリーが励ます。

「まぁ、そう言うなら、ココアに任せてみようか。」

「じゃあ、私はルエのサポートをするね!」

二人はお互いに武器を構え、ホルンを見つめた。