複雑・ファジー小説

Re: 光の堕天使 ルエの真の正体は… ( No.542 )
日時: 2012/07/29 20:15
名前: 水月 ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)


アリーは驚いたまま、その場で動けなかった。
ルエ以外の三人は、戸惑いや困惑などの感情が、心の中で複雑に絡み合っているのだろう。

全員が、沈黙を通していた。
すると、悪魔—…ベーゼはこんな事を言った。

「もう一つ教えてやる。ルエ達堕天使族は、『不吉の象徴』と呼ばれているんだよ。」

「なっ…!? どういう事だ!!」

キルがそう問うと、ベーゼは答えた。

「堕天使族が降り立った町や村は、炎に包まれたという伝説があるんだよ。だから人々は、あいつらを『不吉の象徴』と…。」

彼がそこまで言いかけた時、

ヒュン

空を切る音がして、ベーゼの横を何かが通った。
その後、彼の頬には血が出ていた。

「な、なんだ…?」

突然の出来事に、ベーゼは少し戸惑う。
そして、キル達の後ろにいるルエを、不審そうに見た。

彼女は下を向いていて、怒りからなのか、拳を握りしめている。
その状態のまま、呟くように言った。

「…黙れ。」

「オイオイ、俺はあいつらに事実を教えてやっただけだぜ?」

ベーゼの言葉に怒りが増したルエは、今度は鋭い声で言った。

「黙れ。お前のような者が、堕天使族の真実を語るな。」

「ルエ、どうしたんだ…?」

キルが尋ねるが、ルエは答えなかった。
それどころか、左手に光を集め、剣を作っていた。

すると、ベーゼがその様子を見てこう言った。

「ほぅ、俺にかかってくる気か。でもな、あくまでも今回は戦ったりはしない。
こいつらに堕天使族の事を教えに来ただけだ。」

その一言にさらに怒りが増したルエは、剣に雷を纏わせる。
そして、

「黙れええぇぇえぇぇ—————!!」

咆哮のように叫ぶと、キル達が止めるのも無視して、雷の刃を放つ。
それを受けたベーゼは、黒い粒子となって消えていった。

彼が消えた事で怒りが静まったルエは、剣を消滅させると、キル達の方を見て言った。

「……あいつが言った事は、全て本当だ。その証拠を、お前らに見せる。」

そして、首に着けていたペンダントを、左手で握った。
すると、淡い光がルエを包み込み、それが消えると、ルエは堕天使の姿に変わっていた。