複雑・ファジー小説
- Re: 光の堕天使 名前改名! ( No.564 )
- 日時: 2012/08/14 20:28
- 名前: エストレア ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)
ディムの家に入った直後、アリーはこう言った。
「お願いです! ルエのところに行かせてください!!」
だが、ディムが言った言葉は冷たかった。
「それはできません。ルエは殺人鬼だからです。」
それに彼女は納得がいかず、ディムに問うた。
「なんで、そういう理由で反対するんですか? もしかしたら、それが嘘かもしれませんよ?」
「でも、これは事実です。嘘だという事はありえません。」
「そんな……。」
アリーは床に座り込み、しばらく動けなかった。
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「……っ…。」
ルエは木陰で、痛む体を休めていた。
何故そうなったのかというと、時間は森の奥に連れて行かれた後にさかのぼる。
あの後、ルエは天使族達に必死になって伝えた。
「私は何もしていない!」——と。
だが、彼らは信じもせず、ルエの体に傷をつけた。
その事に絶望を覚えた彼女は、初めはしていた抵抗もしなくなった。
そして、真実を伝える事も。
天使族達は、ルエが気絶したと思い込んだのだろうか、暴行をやめて去って行った。
しかし、彼女は怒りと憎しみのこもった瞳で、まっすぐに彼らを見つめていた。
その後、今に至る。
「……所詮、そんなものだ。…人間も、天使族も、皆…。」
しばらく経って、ルエは小さな声で呟いた。
その後立ち上がり、一本の木の前まで歩く。
そして、右手で拳を作ると、その手で思いっきり、木を殴った。
ガン!!
鈍い音が、森に響いた。
それと同時に、痛みがルエの右手を襲う。
だが、彼女は気にもせずに殴り続けた。
そして、憎しみのこもった声で呟いた。
「…くそっ! くそっ! くそっ! くそっ!!」
その後、右手には血が滲み出ていた。
しばらくそうしていると、怒りか憎しみからだろうか、ルエの瞳には、涙が浮かんでいた。
とうとうそれが堪えきれなくなり、ルエは殴るのをやめる。
そして、木に身体を預けるようにもたれると、大声で泣いた。