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複雑・ファジー小説
- Re: 光の堕天使 名前改名! ( No.571 )
- 日時: 2012/08/20 20:12
- 名前: エストレア ◆p0imGsDc06 (ID: SuDcL78Z)
しばらく泣いた後、ルエは自嘲的に笑い、呟いた。
「バカだな、私は…。一度…体験したのにな…。」
そして、右手で涙を強引に拭う。
少しだが、瞼が赤く腫れ上がっていた。
ルエはその後、骨折していた左腕を軽く動かす。
痛みが無い事を確認すると、そこを支えていた布を、右手で外した。
「治ってきた、かな。」
そう言って、巻かれている包帯も外す。
それが終わると、翼を広げて飛んでいった。
(アリー達が私の事を裏切るのなら…。私がいなくなっても、何とも思わないだろう。)
そう呟いて、しばらく飛び続けていると、
「? なんだ、あれ…?」
ルエは、堕天使界の下にある、洞窟のような物を見つけた。
そして、そこに入っていった。
中は狭かったのだが、意外に明るかった。
洞窟をしばらく歩くと、緑色の扉を見つけ、立ち止まる。
(ここに、誰かいるのか?)
彼女は試しに扉を叩いたが、反応はなかった。
それを確認した後、中に入った。
「誰もいない…。使ってないのか、ここ…。」
辺りを見回し、そう呟く。
そこは、ベッドとテーブル、タンスがある、シンプルな造りの部屋だった。
すると、テーブルの上に、何かが置いてあるのを見つけた。
それを拾いあげると、ルエはふっと笑みを浮かべ、こう言った。
「カッター、ね…。これを使えば、私は死ねるという事か。」
ベッドに腰掛け、スイッチのようなものを上にあげ、刃を出す。
カチカチという音が、ルエにとっては、妙に心地よかった。
そして、その刃を右手首に当てた。
(もう……私なんかいなくなったって…いい、よな?)
「さよなら…。」
そう呟いて、ルエは当てたカッターの刃を、静かに横に引いた。
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