複雑・ファジー小説
- Re: 光の堕天使 〜聖なる力を持ちし者〜 ( No.583 )
- 日時: 2012/12/28 15:51
- 名前: エストレア ◆p0imGsDc06 (ID: 4z3SNsbs)
…夢を見た。
真っ暗な空間に、一人で立っていて。
その事が、怖くなって。誰かを探そうとして、走るが、誰もいない。
「…みんな? どこにいるんだ…?」
辺りを見回して、そう問うても、反応はない。
もしかして、私はまた…独りになるというのか…?
また、誰かに対して、警戒心を持たなければならないのか?
やっと、やっと信じる事ができたのに、また他人を疑うというのか?
そんなの…そんなの…!
「絶対に嫌だ……!! アリー、キル、ホルン! 誰か、返事をしてくれ…!」
…私が叫んだ声は、あなた達に届いていますか?
もし届いているのなら、聞いてもいいですか?
心のどこかに閉じ籠って、楽しそうにしているあなた達を、そこから睨み付けていた私に、それでも接してくれるんですか?
頼ってもいいですか? 甘えてもいいですか?
形振り構わず、思い切り泣いてもいいですか?
あの時の優しさや、かけてくれた言葉は、嘘じゃないと、信じてもいいですか?
…最後に、もう一つ。
私は…私は、一人じゃないのですか?
『そうだよ、ルエ。あなたは…一人じゃない。』
…あぁ、この言葉は…私を絶望の淵から救ってくれた…。
ありがとう、アリー。お前がいたから、私は…。
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そこで私は、目を覚ました。
今のは、夢だったのか…。
「? あれ? なんでこんな所に…。」
確か、私は死のうとして…そこをアリーに止められて…。
あいつに、『一人じゃない』と、言われて泣いて…その後は、よく覚えてない。
もしかして、眠ってしまった、のか…。
「…はぁ。」
自然にため息が出る。
…なんで、こうも他人を疑う性格になってしまったんだろうな、私は。
人間だった頃の記憶のせいか? 確かに、人間を激しく憎み、恨んではいる。
たぶんそれは、今でも変わらないと思う。
でも、アリー達が手を差し伸べてくれたおかげで、「あぁ、こういう者もいるのか。」と、感じるようになった。
私はかえって、人間や他人の長所を知った気がする。
残酷さや醜さは、確かに彼らの中に存在する。
だけどそれでも、優しさや、温かい心を持っているのだ、と。
彼らを信じよう。いつ、完全に信じる事ができるかは分からないけど、あいつらに心を開こう。
そして、そうなったら…一緒に笑いあえれば…いいな…。
しばらくそう考えていた、その時、
「お、目が覚めたみたいだな。」
突然、どこからか声がした。
その声がした方に振り向くと、二人の長身の男性がいた。
しばらく、思考が止まる。
これはいったい…どういう事なんでしょうか?
「えええぇぇえぇぇぇぇ!?」
思わず私は叫んだ。
なんでかって? 目の前に男性二人がいるからだよ!!
だいたい、人がいる事自体、誰でも驚くっての!!
「えっ、なんで、えっ!?」
「…大丈夫か? とりあえず、落ち着け。」
右側にいる男性にそう言われ、深呼吸する。
そうしたら、気が楽になった。それと同時に、状況が理解できた。
整理すると、恐らく、彼らは誰かに頼まれて、ここにいるに違いない。
そうじゃなければ、何処かに行っているはずだ。
だから、さっき聞こえた声主は、この二人のうちのどちらかという事になる。
…ただ、問題は警戒しなくてもよい人なのかどうか…。
とりあえず、軽く自己紹介することにしよう。
「先程は、ありがとうございました。私はルエです。あなた達は、いったい…?」
見た目は、悪い人物ではなさそうだけど…。
「俺? 俺、ハクってゆーの。よろしくな!」
「俺はリュウ。よろしく頼む。」
「あの、少し聞いてもいいですか?」
名前が分かったので、気になった事を聞いてみる。
「ん? なんだ?」
「なんであなた達は、ここにいるんですか?」
すると、左側に立っているハクさんは、考える素振りをしながら、こんな事を言った。
「えーっとな…頼まれたんだよ。お前の親友に。」