複雑・ファジー小説
- Re: 光の堕天使 次章予告更新! ( No.597 )
- 日時: 2013/05/01 23:20
- 名前: エストレア ◆p0imGsDc06 (ID: 6U1pqX0Z)
その最中にルエは、
「気持ち悪いわ! 全員がそんな髪型だなんて気持ち悪いわ!!」
と、突っ込んだ。
彼女が言った通り、全員アフロヘアーである。
「でも、似合うだろ?」
そう言って笑うキルに、ルエは疲れたように、
「…そうだな。」
と、返した。
だが、その割には、若干楽しそうだった。
その後、食事を終えた彼女に、キルが、アフロヘアーの鬘を外しながら、声をかけてきた。
鬘だと今更気づいたルエは、驚いてはいたが。
「あのさ、ルエ。今日、なんだけどさ……。」
「?」
首を傾げる彼女に、キルは頭を掻きながら、こんな提案をした。
「…どこか、出かけないか?」
「…え?」
ルエは心底驚いたのか、目を丸くして、彼を見つめる。
対照的に、見つめられたキルは、少し照れながら頷いた。
暫く考えた後、ルエはこう言った。
「…じゃあ、森に…。」
「世界樹の森、か…。そんな所でいいのか?」
キルがそう問うと、彼女は頷いた。
暫く考えた後、彼はフッと息を吐いて言った。
「…それじゃ、行くか!!」
そして、アリー達に、
「ちょっとルエと散歩しに行ってくる!!」
そう告げると、ルエの腕を優しく引いて、走り出した。
彼女は、キルに腕を引かれた事に顔を紅潮させてはいたが、楽しそうについていった。
そんな二人の様子を、アリーがニヤニヤと笑いながら見つめていたのは、言うまでもない。
——世界樹の森——
「…久しぶりに来たな、ここ。」
「? 俺はそうでもないんだが…。」
森に着いた二人は、それぞれの感想を述べていた。
そんな彼らの目の前には、一本の木を中心とした、壮大で神秘的な光景が広がっていた。
ふわふわと、たくさんの光の玉が浮かび、その木を覆うように囲んでいる。
その光景に圧倒されたルエに、キルはこう言った。
「すごいだろ? これは、光の精霊が生み出している物なんだ。」
「…光の、精霊?」
初めて聞く言葉に、彼女は首を傾げる。
そんなルエに、キルはこう説明した。
「ここの森…って言っても、この中心にある木なんだが……四人の精霊が住んでいるんだ。
水を操る精霊、草を操る精霊、霧を操る精霊、そして、光を操る精霊。
この四人の精霊が、木を守っているんだ。
ちなみに、光の玉は、光の精霊の魔力が具現化した物らしい。」
「へぇ…。」
納得し、ルエは頷く。
その時、
『僕達に何か用なの? お二人さん。』
「わっ!!」
「な、なんだ!?」
突然声が聞こえて、二人は驚き、少し飛び退く。
そして、声がした方へと顔を向ける。
そこにいたのは、肩まである水色の髪と、白色の瞳を持ち、白衣を身に纏った、まるで女の子のような顔立ちの少年だった。
「まぁ、突然現れたから、無理もないか…。
初めまして。僕はミスト。名前の通り、霧の精霊だ。」
少年—…ミストは、そう名乗ってから、ふわりと微笑んだ。
