複雑・ファジー小説

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.13 )
日時: 2011/07/12 09:10
名前: 王翔 (ID: TI5XYu0n)

第八話


沙零の目に入ったのは、大量の彼岸花と一人の女性…………
そして、一人の少女だった。
少女は、巫女装束を身に纏い、その手には刀が握られていた。
その刀は、偽者ではなく本物で刀身が光っていた。
女性の目は虚ろでその瞳には、何も映してはいなかった。
あれは……
沙零は、じっとその様子を見つめていた。
 
少女は、刀を振り上げ、

まっすぐ女性に振り下ろした。

ザンっ
嫌な音がして、女性の身体から血が噴出した。
「……き、むぐ…」
悲鳴を上げようとしたところで、背後から口を塞がれた。
「声を上げるな。見つかってしまう」
聞き覚えのある声だった。
「分かったか?」
そう聞かれて、沙零はこくこく頷いた。
すると、相手が口から手を離した。
振り向いてみると、そこにいたのは壇来だった。
「壇来さん、あれは……」
「あれは……」
ザンザン……
足音が響いた。
一つだけではなく、いくつも……
「まずいな。感付かれたか……ここから、あっちに向かって
走れ。その先に教会がある。そこで待っていろ」
「え?」
「早く行け」
そう言い、壇来は持って来ていたらしい刀を抜いた。
「……」



壇来に言われた通り、沙零は教会まで来た。
教会の入り口の前に立っていた。
「大丈夫なのかな……」
「ああ、無事だ」
「うおっ……いつの間に……」
「今来た。入るぞ」
壇来が教会の大きなドアを開けた。
教会の中は、何か女性の象があった。
女神様と言うやつだろうか。
「おー…壇来やんけ。あ、そっちの子は引っ越して来た沙零ちゃん
やんな?」
白い衣装を纏った青年がにこにこ笑っていた。
「はじめましてー。ワシは、聖夜言うけん、よろしゅうな」
「よ、よろしくです」
「聖夜、うどんを頼む。カレーうどんを……ただし、甘口で卵と
ネギ、チーズ、いくらを入れて七味唐辛子も用意してくれ」
「それ、無理言い過ぎじゃないですか?」
「了解したわー、すぐ作るけん、待っちょれ」
「……」
「さて、そこに座れ。さっきのことだが……」