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複雑・ファジー小説
- Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.15 )
- 日時: 2011/07/12 11:41
- 名前: 王翔 (ID: TI5XYu0n)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
第九話
教会の椅子に座って、壇来の話を聞いていた。
窓から見える外はまだ真っ暗だった。
「あれは……吸血鬼の処刑だ」
「え……?でも、吸血鬼はもう、いないんじゃ……」
吸血鬼の処刑が行われていたのは、三百年も昔のことだと……
壇来は、難しそうな表情で語る。
「いや、まだ吸血鬼も存在するし、処刑も行われている」
「え?」
「……今でも、月の光を浴びた彼岸花を見て暴走し、人を喰らう
吸血鬼が絶えない。一応、夜に出歩かないようにと警告はして
いるのだが、やはり出てしまう者も多くてな……」
「じゃあ、祭りの日がどうとかって、言おうとしてたのは……」
「祭りが行われるのは、夜だ。だから、祭りの日は暴走者が多い。
多くの吸血鬼が処刑される……」
「……」
吸血鬼は、まだ実在してるんだ……
そして、処刑も行われている。
「あと……吸血鬼の処刑を行うのは、神谷神社の者の役目になって
いる。こんなものだ。分かったか?」
「はい、まぁ……」
「あと……」
壇来は、付け足すように言った。
「くれぐれも、口外はするな」
「なぜ、ですか……?」
「今は吸血鬼がいるのと、処刑が行われていると言う事実は
隠しているんだ。秘密を知った者がいると知れば、簡単に
排除される」
沙零は、暗い表情をした。
見てはいけないものを見てしまったのだ。
確かに、言いふらすのはまずいだろう。
「おーい、壇来。カレーうどんできたけん、食べや」
聖夜がチーズだのいくらだの入った熱々のカレーうどんを持って
来ると、机にドンと置いた。
「ふむ。お前も食べるか?」
「いえ、勘弁してください」
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