複雑・ファジー小説

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.16 )
日時: 2011/07/12 14:40
名前: 王翔 (ID: CWo1/r7X)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

第十話


吸血鬼の処刑を行っていたのは……神谷神社の者だと壇来が言っていた。じゃあ、あの子は……神谷 さざめ、なのだろうか……
では、さざめがクラスメイトと一切口をきかない理由は一体、何なのだろうか……
「うーん……」
沙零は、教室で自分の机に座ったまま呻いた。
「どうしたんですか、沙零さん?」
雫が心配そうに顔を覗き込んできた。
「ふお……何でもないです」
「そうなんですか?何か悩みがあるなら、私で良ければ相談にのりますけど……」
「ホントに大丈夫ですよ!」
沙零は、心配する雫に笑いかけた。
「そうですか。では、私は先生に呼ばれていますので行って来ますね」
「はい、行ってらっしゃいませー」
雫は、最後ににこっと笑うと教室を出て行った。
「……」
沙零は、さざめの席に目を向けた。
さざめは、一人で黙々と本を読んでいる。
周りの様子を気にするようなことは一切ない。
周りのクラスメイトも、さざめの席には近づかない。
「よし……」
沙零は、立ち上がってさざめの席に近づいた。
「神谷さん」
「……何?」
「えーと……みんなと話したりしないんですか?」
とりあえず、笑顔で質問した。
「しない。用がないなら話かけないで」
「はい……すみません……」
沙零は、シュンとして自分の席に戻った。
全く相手にされなかった。
「うーん……」




帰り道、沙零は神谷神社の前を通りかかった。
「返して!!」
声が聞こえた。
覗いてみると、一組の夫婦らしき男女がいた。
「お願い……息子を返して!!」
妻の方が泣きながら大声で叫んでいる。
「よしなさい」
夫がそれを、なだめる。
「ルールだから、仕方ないんだ……」
「ううっ……ううう……」
そして、妻はその場で泣き崩れる。
「……」
吸血鬼、のことかな……あの人達の息子さんが暴走しちゃって、処刑されちゃったのかな……それで、ここに……
処刑者は、村を守っているが恨まれるのだ。