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複雑・ファジー小説
- Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.17 )
- 日時: 2011/07/12 19:29
- 名前: 王翔 (ID: gT4Hbmrj)
第十一話
「壇来殿!」
加世田神社の前には、フードを被って顔を隠した複数の者達の姿があった。彼らは、壇来に詰め寄っていた。
「困ります!あのようなことをされては……」
「そうは、言われても聞く耳は持たん」
焦っている彼らを前に、壇来は表情を変えることなく告げた。
「なぜですか!?あれが、外部に漏れれば……この村全体が危険な状態になることもありえるのです!!」
「そうですぞ!本当にまずいことになりかねない!」
「だからと言って、罪のない人間を殺すことはしてはならないことだと思うが?」
「村を守るために、多少の犠牲は……」
「とにかく知らん。口封じはしておいたし安心しろ。お前達はもう帰れ。不愉快だ」
壇来はそう吐き捨てると、本殿の中に姿を消した。
「壇来殿!!」
「どうか話を!!」
フードの者達が諦めて帰ったのは、これから三時間も後だった。
沙零が畑に囲まれた帰り道を歩いていると、一つの人影が見えた。
「はいはーい、沙零ちゃん。元気にしてた?」
「雷手さん……何の用ですか?」
「んーと、ちょっとお話をねー」
雷手は、にっこりと笑った。
「ここじゃ、話しにくいから近くの店で話そうか」
雷手に連れて来られたのは、和菓子屋だった。
「いらっしゃい。ゆっくりしてってなあ」
可愛い売り子さんが出迎えてくれた。
「おー、君可愛いね。今度、俺とデートしない?」
「雷手さん、何言ってんですか!?」
「うふふー、嫌ですー」
売り子さんはにっこりと微笑みながら即答した。
「だよなー……」
「さてさて、お席に案内するけん、ついて来てくださいますか?」
「はいはい」
客席は、低い木製の机と座布団があると言った古風な雰囲気だった。
「壇来に、聞いたんだよな?」
「はい、聞きました」
「じゃあ、仕方ないか……」
雷手は、苦笑した。
「実は…俺、医者見習いなんだ」
「え……?」
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