複雑・ファジー小説

Re: 血染めの彼岸花 ( No.2 )
日時: 2011/07/11 09:05
名前: 王翔 (ID: WglqJpzk)

第一話


晴天のある日、多光の村にとある一家が引っ越してきた。
一家は、荷物の整理におわれていた。
沙零は一旦、外に出て周囲を見回した。
一面に緑が広がっていた。
「ここが、お母さんの故郷かぁ……」
空気をいっぱい吸って、大きな深呼吸をした。
「何か、おもしろそうだなぁ」
そう呟くと、沙零は家の中に戻り、荷物の整理をしている母に
声を掛けた。
「お母さん、散歩してきてもいい?」
「はいはい、行って来なさいな」
「うん」
沙零は、外に出て、田畑に囲まれた道を歩いた。
「うーん……気持ちいいなぁ」




「……ここ、どこ?」
気づけば、迷子になっていた。
まだ、引っ越して来たばかりだから、道を全く理解していない。
「困ったなぁ……」
沙零は、ため息をついてトボトボ歩いた。
しばらく歩くと、神社があった。
「あ、神主さんとかに道聞こうかな」
そう考え、神社の門をくぐった。
神社の庭には、小さな屋根のある棚のような物があった。
覗いてみると、女の子の肖像画があった。
「誰だろ……ちょっと、私に似てるなぁ。なんちゃって」
「おーい、そこのお嬢さん」
「はい?」
声が聞こえ、沙零は振り向いた。
一人の青年がいた。
青年は、沙零を見るなり、驚愕の表情を浮かべた。
「え……ええ!?」
「あの……私の顔に何かついてますか?」
「あー…いや、何も……昔の知り合いに似てたって言うかね……
あ、俺、雷手って言うんだよねー」
「私は、沙零です」
「おー……」
雷手は、沙零をまじましと見つめる。
「まだ、引っ越してきたばかりで…」
「よーし、お兄ちゃんが案内してあげるよ」
「え……?」