複雑・ファジー小説

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.23 )
日時: 2011/07/14 13:04
名前: 王翔 (ID: rDOS.pEA)

秋原かざやさんに宣伝作っていただきました。
とても、素晴らしいです。






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 彼岸花が揺れる。
 その中に一人の少女が立っていた。
「私が、吸血鬼を制します」
 そう言ったのは、いつのことだっただろう。
 少女は刀に付いた血を振り払い、鞘に収める。
 その血が、ぱっと彼岸花の上に、落ちた。
 その後、少女は悲惨な最期を遂げることになる……。


「ここが、お母さんの故郷かぁ……」
 ある少女が、多光の村に越してきたところから、物語は動き出す。

 その少女は神社で、彼女そっくりな肖像画を見つけた。
「え……ええ!?」
「あの……私の顔に何かついてますか?」
「あー…いや、何も……昔の知り合いに似てたって言うかね……あ、俺、雷手って言うんだよねー」
「私は、沙零です」
「おー……」


「この村には、吸血鬼がいたんだよ」

 多光の村は吸血鬼の住む村であった。
「吸血鬼は、夜に月光を浴びた彼岸花を見ると、暴走するんだ。血を吸うんじゃなく、人を食べてしまう。つまり、食人鬼と化したわけなんだよねー……さらに、一度暴走したら、元には戻れない。次々に人を喰らい続ける……」

「神谷 さざめさんです。神谷神社の娘さんなんです。誰とも話したがらないんです」

「千沙、か……?」

 そして、少女……沙零は、ついに見てしまう。
 揺れる彼岸花の草原で。
 巫女姿の少女が、刀で吸血鬼を……人を殺めるところを。

「声を上げるな。見つかってしまう」
「おーい、壇来。カレーうどんできたけん、食べや」
「お願い……息子を返して!!」
「実は…俺、医者見習いなんだ」

     『くれぐれも、口外はするな』

 悲しい英雄伝説と、悲しい運命を持つ吸血鬼。
  彼岸花の揺れる村で、等しく幸福が訪れるのはいつの日か……。

 【血染めの彼岸花——月夜に降り立つ処刑者——】

 現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!

「よかった……あなたが、秘密を守れる人で」
 さざめは、ほんの少し、微笑んだ。

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