複雑・ファジー小説

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.25 )
日時: 2011/07/14 19:30
名前: 王翔 (ID: sqDlb19C)

第十六話


壇来が去ったあと、沙零と雫は墓に花を供えた。
「これで、いいでしょうか」
「はい、大丈夫だと思います」
雫に質問され、沙零は笑顔で答えた。
「じゃあ、あとは」
沙零と雫は、両手を合わせ、目を閉じた。
「……」
「……」
数分たつと、二人はぱっと顔を上げた。
「帰りましょうか」
「はい」
沙零と雫は、山を降りる。




翌日、沙零は村で唯一の病院の前に立っていた。
「ここか……」
沙零は、病院の中に足を踏み入れた。
病院には、風邪を引いたらしい人や、検診にしているらしい人達の姿があった。
「ここが、雷手さんの家かぁ」
沙零は呟いた。
「おーい、沙零ちゃん」
「あ」
振り向くと、にこにこしながら手を振っている雷手がいた。
「どうしたの?どこか悪いの?」
「えーと、何だか胸がズキズキして」
「え?胸?よし、俺が見てあげるよ!さあ、脱いで!」
「い、いえ、遠慮します!」
沙零は、首を左右に振った。
「うーん、そうなのか?タダで見てあげるのに」
「いえ、気を使わないでください」
身に危険を感じる。
「それで、薬の開発は進んでるんですか?」
「うーん、それがさ……やっぱり、何を材料にすればいいか分からないみたいでさ、親父も頭を抱えてるよ」
雷手は、苦笑いしながら答える。
「そうですか……」
「なあ、沙零ちゃん。今週の日曜日でも、川に遊びに行かない?」
「へ?」
「ま、知り合い誘ってみなよ。そうだな……できれば、さざめちゃんもさ。気晴らしになるだろうしな」
「はい、やってみます!」