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複雑・ファジー小説
- Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.37 )
- 日時: 2011/07/17 10:06
- 名前: 王翔 (ID: 72/NuTit)
最終話
彼岸花の花畑に、雷手は来ていた。
「まだ進まないな……材料がな…」
ふと、彼岸花を見つめた。
「これだ……」
沙零が目を覚ますと、白い天井が見えた。
「ここは……」
「沙零ちゃん、目が覚めたんですね」
「大丈夫…?」
雫とさざめが心配そうにしていた。
「あ、大丈夫ですよ」
沙零は上体を起こした。
不思議と、刺された胸に痛みは感じない。
「ごめんなさい。私のせいで……」
「ううん、さざめさんのせいじゃないです」
沙零は、笑顔で言った。
「でも……あなたは、私を庇って……」
「そ、その、私……ずっとさざめさんに言いたいことがあったんです。」
「なに?」
「私と、友達になってください」
「え?」
「さざめさんも、普通に遊びましょう」
「……うん」
さざめは、微笑んだ。
「よ、沙零ちゃん」
「大丈夫か?」
雷手と壇来が入って来た。
「はい、大丈夫ですよ」
「そっか。実は、いい知らせがあるんだ」
「へ?」
沙零は、首を傾げた。
「薬の開発、進みそうなんだよ。材料が見つかってな」
「何だったんですか?」
「ホントに単純だったんだよ。彼岸花。要は、薬に彼岸花を使って彼岸花に対する耐性をつけるんだ」
「あれ?彼岸花って毒が」
「毒抜きはするよ」
雷手は、笑ってみせた。
「ま、吸血鬼を処刑する必要のない未来はそう遠くないってわけだよ」
「はい、そうなると嬉しいです」
沙零は、笑った。
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