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複雑・ファジー小説
- Re: 血染めの彼岸花 ( No.4 )
- 日時: 2011/07/11 11:42
- 名前: 王翔 (ID: 4oOK7VS7)
第三話
「この村には、吸血鬼がいたんだよ」
「吸血鬼、ですか……」
「うん、吸血鬼は人の血を吸って生きる。けど……この村には、
大量に彼岸花があるだろう?」
「そうですね……」
沙零も、この村に来てからよく見かけていた。
彼岸花を……
「吸血鬼は、夜に月光を浴びた彼岸花を見ると、暴走するんだ。
血を吸うんじゃなく、人を食べてしまう。つまり、食人鬼と化した
わけなんだよねー……さらに、一度暴走したら、元には戻れない。
次々に人を喰らい続ける……」
「食人鬼…ですか……」
「村人が困り果てていた時、一人の少女が現れたのさ。それが、
この墓に眠る華倉 千沙。千沙は、暴走した吸血鬼を処刑する
役をかって出た。村を救うために……」
「そんなこと、しなきゃいけなかったんですか……」
「それしか、方法がなかった。彼女は、村のために自分が
人殺しになることを恐れなかった。立派なもんだろ?」
「そう、ですね……誰かがそんなことをしないといけないなんて、
辛いですよ…」
「ま、そうだねー」
千沙は、村人を守るために、暴走した吸血鬼を処刑した。
彼女は、英雄だった。
「でも……千沙は、最後は、殺された」
「え?どうしてですか……?」
「どうしても、処刑人は恨みを買うんだよ。処刑した吸血鬼の
家族、とかね。最後は……切り裂かれて、ね」
「そうですか……」
「千沙は、それもやる前から承知済みだったよ」
「……」
英雄って、報われないのかな。
「生まれ変わってるなら、今度は平凡に生きてほしいなって」
雷手は、苦笑する。
「な、沙零ちゃん」
「はい?」
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