PR
複雑・ファジー小説
- Re: 血染めの彼岸花 ( No.5 )
- 日時: 2011/07/11 16:29
- 名前: 王翔 (ID: 6QQsLeeZ)
第四話
『お兄ちゃんの力が必要だったら、言うんだよ。君のためなら、
何でもしちゃうよ。ではでは、さよならエンジェル!』
雷手は、別れ際にそんなことを言っていた。
沙零は目を覚まし、上体を起こした。
「何か……変わった人だったなぁ」
何気なく、ベッドから手を伸ばして棚の上の時計を手に取る。
時刻は、五時だった。
「うお……今までで一番早起きだ!フフフ……二度寝できちゃうよ」
「おはようございます、沙零さん」
通学路で、クラスメイトの雫が挨拶をしてくれた。
「はい、おはようございまーす」
沙零は、にこっと笑って返す。
雫は一番最初に声を掛けてくれた人物だ。
いろいろ教えてくれたり、親切な美少女で当然の如くモテる。
学校の教室は、朝から話をしたりする生徒達で賑わっていた。
けれど、一人だけ誰とも話さない少女がいた。
圧倒的に他の人達とは違う雰囲気を纏っている。
「ねえ、雫ちゃん。あの子は……?」
雫は、困ったような表情をして、
「神谷 さざめさんです。神谷神社の娘さんなんです。誰とも
話したがらないんです」
「ほぇー、そうなんですか」
話しかけるには、相当勇気が必要みたいだ。
沙零は、特に気にしなかった。
「ところで、沙零さんは、この村に吸血鬼がいたと知ってますか?」
「はい、知ってますよ」
「噂、なんですが……吸血鬼はまだ実在しているんじゃないかって、
話があるんです」
「え……」
「あと…吸血鬼が人を食べた後は、飛び散った血で彼岸花が
血で染まっていたそうです」
「血染めの彼岸花を見た人がいるんです」
PR