複雑・ファジー小説

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.9 )
日時: 2011/07/11 21:27
名前: 王翔 (ID: bh1qG02E)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

第七話

多光の村では、年に一度、祭りが行われるらしい。
かつて、村を救った千沙と言う少女を称えるもので千沙祭りと
呼ばれている。
祭りは、毎年大勢の村人達で賑わうらしい。
一ヶ月後に行われるとのことだ。
沙零は、自宅のリビングのソファに腰掛け、ケーキをフォークで
器用に切りながら、考え事をしていた。
何か、壇来さんの言葉が気になるなぁ……
『もう少しで、祭りか……今年も、吸血鬼が……』
そして、以前の雫の言葉……
『噂、なんですが……吸血鬼はまだ実在してるんじゃないかって
話があるんです』
吸血鬼……
もしかして、本当にいるのかな?
いるはずがないと思いつつも、完全に否定はできない。
「うーん……何だろう……」
分かんないなあ……
「どうしたの?沙零」
「お母さん……」
晩ご飯を作っているらしい母が心配そうに声をかけてきた。
「何でもないよ。ちょっと、考え事を……」
「そう。無理はしないようにね」
母は、にっこりと微笑んだ。
「あ、言い忘れてたんだけど……



     夜は、出歩かないようにね」



とは、言われたのだが……
沙零は、自室の机にあるカバンの中身をみつめながら、絶句した。
学校にノートを忘れて来ていた。
「まずいなぁ…宿題、明日までなのに……」
しばし、沈黙し、
「よし、取りに行くか」


そんなわけで、沙零は外に出た。
「真っ暗だなぁ……」
月が辺りを照らしていた。
「……?」
沙零は、何かを感じ、ある方向に歩いた。
虫の鳴き声がうるさいぐらい聞こえていたのだが…
ある時点から、聞こえなくなった。
「あ……」
沙零の目に入ったのは、大量の彼岸花と一人の女性…………
そして、一人の少女だった。