複雑・ファジー小説
- Re: 将軍様直属★半天半魔殿【なぜか宇宙人出るよ!】 ( No.10 )
- 日時: 2011/07/16 18:54
- 名前: 王翔 (ID: JnkKI7QF)
二幕 第四話
「さて、やりますかいな」
菊一が杖を天にかざすと、杖は白い光と黒い光を纏う。
聖の力と魔の力─────
「グアア……」
食いしん坊宇宙人は、バキバキと木々を倒しながらこちらに向かってくる。
菊一が攻撃を受け止めようと杖を横にして構える。
ガッ!!
食いしん坊宇宙人は大きな口を開け、鋭い歯で杖に噛み付いた。
しかし、杖は折れることもなかった。
「な……」
里同も驚いていた。
食いしん坊宇宙人は、刀すらも食べてしまうようなとんでもない生き物なのに、なぜ菊一の杖を食べることはできないのか……
菊一は、食いしん坊宇宙人を振り払う。
「ほいさっ」
「私も…」
里同も鞘から、刀を抜く。
刀を食べると言っても、要は口の近くに持っていかなければいいのだ。
「はっ」
里同が刀を振るう。
刀は、すっぱりと食いしん坊宇宙人の右腕を斬り捨てた。
「ガアア!!」
食いしん坊宇宙人は、大きな咆哮を上げ、残った左腕を里同に振り下ろす。
里同は、腕でそれを受け止める。
「……っ!」
ちょうど怪我をしていた方で受けてしまい、痛みが走る。
「阿呆!はよ下がれ!!」
「くっ……」
食いしん坊宇宙人が大きな口を開ける。
間一髪、菊一が里同の身体を引っ張り、食べられるのを回避する。
「……礼を言う」
「うんうん、感謝せいよ。さて……」
菊一は、口を開けて向かって来る食いしん坊宇宙人に対して、杖から、白い光を放ち、木を倒して盾にした。
食いしん坊宇宙人は、勢いを止められず、木にかじりついてしまう。
その隙を見逃さず菊一は、その木の上に飛び乗ると杖を食いしん坊宇宙人に向かって振り下ろす。
「終わりや」
ドオオオオオオオオオオン!!
真っ黒な雷が食いしん坊宇宙人に落ち、食いしん坊宇宙人は跡形もなく、消滅した。
菊一は、木から降りて、杖をしまう。
「終わったなー」
「ああ……」
太天城に戻った菊一は、里同と電波将軍に報告を終え、廊下を歩いていた。
「何と言うか……どうも、貴様の正体が分からないんだが」
複雑そうな表情の里同に対し、菊一はにっこり笑って、
「なになに?ワシのこと知りたいん?なら、もっと女の子らしく可愛くなってきいや」
「ちょっと後で心臓貸せ」
「心臓かいな!?そこは顔やない?」
「あ、あの!」
呼び止められ、振り向くと綺麗な肩ぐらいまでの長さの黒髪の少女が立っていた。
彼女は、あの電波将軍の娘だったりする。
「里宇やないか?」
「は、はい。覚えてくださったのですね、菊一様」
里宇は、まるで天使に微笑む。
「今回も活躍なさったそうで……本当に尊敬します。私も、菊一様のようになれたらと思います」
「いや…ならん方がええよ」
「だな」