複雑・ファジー小説
- Re: 将軍様直属★半天半魔殿【東星桜は一旦ロック中です】 ( No.4 )
- 日時: 2011/07/14 17:19
- 名前: 王翔 (ID: GTWwVaDQ)
第三話
「ビン詰め宇宙人とは……人を玉に変えてしまい、ビンにつめる宇宙人らしいで。で、玉にされてしまった人は、二度と元には戻れんと」
菊一は、報告書を読み上げた。
「知ってる」
里同は、明らかに不機嫌そうに答える。
何と言うか……このあらかさまに嫌ですって顔するんやめてほしいわー…
「んじゃ、ビン詰め宇宙人探すかいな」
「貴様に言われなくても……」
そう言って、里同は菊一を睨み付ける。
いちいち、鬱陶しい奴やな……
菊一は、あくまで顔には出さないように城下町を歩いた。
ふと、立ち止まる。
「なあ、菓子でも食べていかへん?」
笑顔で言って見ると、いきなり里同は刀を抜いた。
「今は仕事中だ。そうじゃなくても、貴様なんかと菓子なんて食えるわけないだろカス」
「はいはい、わかっとるわ」
菊一は、仕方ないといった様子でため息をついた。
城下町の外れに向かいながら菊一は問うた。
「なあ、おまんは何でワシのこと気に入らんのかいな?」
「私は、不真面目な奴が嫌いなだけだ。お前に限ったことでもない」
「ふーん……」
森にさしかかった時だった。
「……」
ざっ
目の前に、一人の少年が現れた。
その手には小瓶を持っていた。
「コイツ、やな」
「だな」
菊一は、杖を構えた。
少年は、にこっと微笑む。
「お兄さんたちも、ボクのコレクションになってくれるの?」
不気味な笑みだった。
少年の背から、不気味な蛇のようなものが現れる。
ゴオン!!
蛇は、菊一と里同に向かってその大きな身体を振り下ろす。
さっと避け、菊一は杖を振り、蛇に雷を落とした。
蛇は焼かれ、消滅するがまた再生した。
その瞬間、里同が刀を振るい、またも消滅させるがやはり、再生してしまう。
「これは……」
「アイツを叩けってことやな」
「分かってる」
「気づいちゃった?でも大丈夫。ボクのことは、蛇さんが守ってくれるんだ」
少年はにこやかに告げる。
「それは、どうだろうな」
里同は、刀を捨てると素手で蛇を抑えた。
「おー……怪力やんね」
「早くやれ、カス!!」
里同に怒鳴られ、菊一は杖を少年へ向ける。
背の羽が一瞬光り、次の瞬間、白と黒の光が顕現した。
「え……?」
少年が、不思議そうに空を見上げた。
その時にはもう遅く、少年に白と黒の光が降り注いだ。
「ぎゃあああああああああああ!!」
少年の悲鳴が聞こえ、少年は跡形も残らず消え去った。
「すまなかった!!」
「はい?」
空が黒くなり、月の光が地上を照らすなか、里同が菊一に頭を下げた。
菊一は状況が理解できず、首を傾げた。
「いや、貴様も仕事は真面目にやると……悪かったで」
「まあ、ええよ。気にしてへんし。それに……」
「それに?」
「おもしろいもん、見れたし」
菊一は、にやにやしながら里同を見た。
「さて、言いふらしたろ。今の」
「き……貴様!!そこへなおれーーーーーー!!!」