複雑・ファジー小説

Re: 将軍様直属★半天半魔殿【なぜか宇宙人出るよ!】 ( No.8 )
日時: 2011/07/15 21:46
名前: 王翔 (ID: 3I1qtzhC)

二幕 第二話


「ホンマ、面倒やのー。あの電波将軍、滅びんかいな」
「黙れ、菊一。将軍のことをそのように言うのは許さない」
「はいはい、わかっとる」
菊一は、やれやれといった感じで返事をした。
「ふん……」
里同は菊一から顔を背けると、さっさと歩き出した。
現在は、人通りの多い城下町を歩いている。
空からは、明るい太陽の光が降り注いでいる。
今は夏に入ったばかりと言うことで、外を出歩くのは暑い季節だ。
菊一は、ふと足を止めた。
菊一が足を止めたのは、和菓子屋の前だった。
和菓子屋は、普通の民家より少し大きいぐらいで看板が入り口に立てかけられており、甘い匂いが漂ってきた。
「どうした?」
里同も足を止め、怪訝そうに問う。
「なあ、菓子でも食っていかへん?」
「今は仕事中だと……」
「そやけど、ちょっと休憩するぐらいは、べつにええやろ?」
笑顔でそう言った。
「……」
里同は、むすっとして、
「勝手にしろバカ」
「ほんなら、食べるとするかいなー」
「……」



「なあ、食いしん坊宇宙人ってどんなんなん?」
菊一は、和菓子を一定のスピードで口に運びながら里同に問うた。
「ああ……あれは、真っ白で人の形をしていてな……それで、口が異常に大きく、刀さえも食べてしまう」
「そりゃあ、恐ろしいなー」
「ああ……」
「お茶です」
その時、和菓子屋のおばさんがお茶を運んできた。
「なあ、旦那さんはどしたん?今日は見かけんけど?」
すると、彼女は悲しそうな表情になる。
「主人は、山登りに行っていて…宇宙人に食べられてしまったんです」
「ほー……」
「す、すまない!!」
突然、里同がおばさんに頭を下げる。
「私が…もっと、早く駆けつけていれば、何とかなったかもしれないんだ……私が…」
「いいんです。聖武さんでも、全ての人を救うことはできません。それに…主人は、私の心の中でずっと、生きていますから」
おばさんは、微笑んだ。
「しかし……」
「あー…ワシが仇討ったるわ。ここの和菓子は、よう食わせてもらっとるけんの」
菊一は、そう告げた。
あくまで、真剣に。