複雑・ファジー小説
- Re: 将軍様直属★半天半魔殿【なぜか宇宙人出るよ!】 ( No.9 )
- 日時: 2011/07/16 12:40
- 名前: 王翔 (ID: UfUkp6Ds)
二幕 第三話
「あー…ワシが仇討ったるわ。ここの和菓子は、よう食わせてもらっとるけんの」
「あ、ありがとうございます……」
おばさんは、菊一の言葉で泣き崩れた。
「……」
「じゃあ、行きますかいな」
「ああ」
菊一と里同は、和菓子屋を出た。
一定のスピードで城下町を歩きながら、里同は言った。
「……貴様は、一体、どう言う奴なんだ?イマイチ良く分からんで」
「んー…ワシはすっごいええ人やで?」
菊一は、にこっと笑う。
「…どうだか」
里同は不思議そうに再び質問する。
「お前は、何者なんだ?なぜ、あれほど将軍に信頼されて……」
「なになに?ワシが将軍に信頼されてんのが羨ましいん?」
にやにやしながら聞いてみた。
「違う!そうじゃない…単に、気になっただけで……」
「ワシはなぁ、半天半魔っちゅう人間と天使と悪魔……三種類の血を引く種族なんやで。前は、半天半魔もぎょうさんおったんやけど……何の仕業かは知らんけど、村が襲われてなぁ。今はもう、数えるほどしかおらんよ」
「すまない……そんなことがあったとは…」
「べつにええよ?それは、ワシが赤ん坊の頃やし、なーんも覚えとらんけんの」
菊一は、そう言って苦笑いをした。
そして、心配そうな表情をしている里同の肩を叩いた。
「ま、この話はまた今度にして、今は宇宙人退治やで」
「あ、ああ……」
二人は、山道を登り始めた。
山道には、木々や草、花が生い茂り、太陽の光を妨げていた。
「うわああああああああああ!!!」
「!」
悲鳴が聞こえ、菊一と里同は走った。
駆けつけた先には、食いしん坊宇宙人とその前で腰を抜かしている子供の姿があった。
菊一が、杖で食いしん坊宇宙人を抑える。
その隙に、里同は子供の元に駆け寄り、立ち上がらせた。
「今すぐ山を降りて、城下町に戻れ」
「は、はい……」
子供は、涙目のまま返事をするとすぐに去った。
「さて、やりますかいな」
菊一は、一旦食いしん坊宇宙人から距離を置いた。