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第三十一話　能力者か


砂煙が視界をさえぎる
ルヴェリは咳き込みながら飛び上がった
幼い影はそれを余裕の笑みで見上げた


「ケホッ・・・」


十分に距離をとり、左のわき腹に手を添える

ヌルッ

気持ち悪い、温かい何かが触れた
見なくても分かる

血だ


今まで何度も見てきた
血は温かく、命を繋いでいる


「お前・・・能力者か」


クスッと巳好は笑った
右手を振ると、ルヴェリの地面が波打った
舌打ちをしたその場から離れる
わき腹がズキリと痛んだ

地面から鋭い棒状のものが突き出る
本来ありえないはずなのに
それはルヴェリを追うように突き上げてくる


そう


これが巳好の能力だ


「フフッ・・・逃がさないんだから・・ッ！」


そういって右手を大きく振りあげる
ルヴェリを囲うように四方から突き出た土の塊
鋭くとがった部分が全面にある


「ック！」
「めった刺しだぁっ！」


笑みを浮かべながら叫んで、右手を勢いろく振り下ろした


「〜〜〜ッ！」




ザシュッ