複雑・ファジー小説
- Re: 姉妹の誓い 〜絆〜 【第三章突入】 ( No.290 )
- 日時: 2012/11/04 19:06
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)
第四話 弱かった
得体の知れない匂いがする。
巳好はビクリと体をこわばらせた。
その様子を見て、少女は笑った。
少女の体から黒いなにかが煙のように揺らめく。
それは少女の体に纏わり付いていて、巳好は気持ち悪さを覚えた。
「さぁ、もうこっちのもんだね」
少女が言った。
「!」
レイトは思わず振り返った。
巳好が戦っている方から不気味な気配がしたからだ。
しかし、今はレイトも戦闘中。
敵に背中を見せた。
当然空和はそれを見逃さなかった。
好機とばかりに背中に鋭い蹴りをいれる。
反応が遅れたレイトはモロに蹴りをくらい、飛ばされた。
「お仲間の身を案じている場合ですか」
「・・ッチ」
唇が切れ、滴り落ちる血をレイトはぬぐった。
フワリと体が浮いた気がした。
頭がくらりとして気分が悪い。
「(僕は・・・)」
巳好は自分の体が落下していくのを感じた。
「(あいつに・・)」
残っている意識と力で落下の衝撃を和らげるためにクッションを作る。
クッションに受け止められ、巳好はフッと意識を失った。
「・・すげぇ」
ルヴェリはつぶやいた。
先ほどの少女の力。
それは巳好の能力より勝っていた。
圧勝。
「ほら」
少女は猫を抱きかかえ、巳好を見下ろす。
「弱かった」
猫がニャァと鳴いた。
「!」
砂煙が上がる。
少女は猫を抱きかかえた状態で腹を殴られた。
小さな体では支えることは出来ず、そのまま吹っ飛ぶ。
ルヴェリは我に戻り、少女を受け止めた。
「くっ!」
完全に勢いをとめることはできず、ルヴェリの傷口に響いた。
「・・・」
「ケホッ・・・な・・にするの!」
少女は相手を睨みつける。
猫も毛を逆立てて唸る。
相手はフードを深くかぶった緑だ。
緑は無言で巳好へ近づき、小さな体を抱き上げる。
ボロボロに傷ついた体は、ひどく痛そうだ。
「こっちを・・・」
少女は右手に力をこめる。
「見なさいよ!!」
「!!」
土の塊が突き出す。
巳好の能力だ。
「なっ・・!お前、何個能力もってんだよ!」
ルヴェリは叫ぶ。
「うちの能力、『畏れ』は相手がうちのことを『畏れ』た場合にのみ、その相手よりうちは強くなる。相手にとって最強になる」
そして、と少女は続ける。
ザシュッと土の塊が緑の右足をかすった。
「一定時間、その相手の能力を使うことができる!」
ダンッと両手を突き上げる。
土が台風状になる。
巳好が使った技だ。
「はぁっ!!」
大きな台風が迫り、緑は立ち止まる。
巳好を肩に担ぎ、左手で自分の前に四角を空で描く。
「・・・」
台風が二人を飲み込んだ。