複雑・ファジー小説

Re: 姉妹の誓い 〜絆〜 【第三章突入】 ( No.291 )
日時: 2012/11/06 19:26
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)

第五話 把握


土煙が辺りを覆う。
少女はその土煙の中を睨みつけている。


「な、なぁ・・・あいつら倒したんだったら蓮を助けに行こうぜ?」


ルヴェリが少女に話しかける。
しかし、少女は左手でそれを制する。


「何で・・・」
「は?」


小さな声にルヴェリは思わず聞き返す。
少女の表情を見ると、驚いているようだ。


「何で、アレをくらって普通に立っていられるの!?」


そう叫ぶ。
土煙が徐々に晴れ、その中から二つの人影が姿を現す。

言うまでも無い。
緑と巳好だ。


「巳好とは長い付き合いだ。その能力の弱点や攻略ぐらい、当然把握している」


緑は淡々と述べる。
少女は悔しそうに唇を噛む。
驚いたのは少女だけでなく、ルヴェリも同じ。


「(おいおい・・どう見たってあの台風の威力はスゲェだろ・・なのに・・・!)」
「それに、今回で『畏れ』の能力も大体は理解できた」
「!」


少女は体を強張らせる。


「相手の能力を一定時間使えるが、その能力の威力はオリジナル、つまり相手の能力者が自分に見せた技しか使うことが出来ない」


少女が相手をギッと睨むところから、それは当たっているのだろう。


「それと、幼いからかは知らないが、オリジナルの能力の半分の威力までしか出せない」
「・・・うちはまだ成長途中だからよ」


ムスッとした声で答える。
そして少女はため息をついて、くりんっと笑う。


「正解。全てあなたの言うとおり。今回はうちの負けかな」


そういって背を向ける。
ルヴェリと目が合った少女は、ニコッと笑い猫を抱き上げる。
いつの間にかルヴェリの足元に移動していたのだ。


「デブにゃん、今回はこれでもいいよねー。うち頑張ったもん」
「にゃぁ」


柔らかい肉球で頬を触る。
少女はまた笑う。


「じゃあ、うちはこの辺で」
「・・・名前を聞いておこう。巳好が悔しがる」


緑は問うた。
少女はクスリと笑う。


「うちは岩崎愛だよ。フードの人♪」
「そうか」


そういうと愛は猫と共にフッとその場から消えた。