複雑・ファジー小説

Re: 姉妹の誓い 〜絆〜 【第三章突入】 ( No.300 )
日時: 2013/02/07 15:28
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)

第十二話 買ってくれます?



固いうろこにその身を包み、爛々と光る鋭い瞳を持ち、翼を羽ばたかせて炎を吐く。


「・・・あんなものが実際にいるなんて知りませんでしたわ〜」


はぁ、とため息をつく。
仮面がないためネイトゥは些か不機嫌だ。
無理もないだろう。
あの炎を浴びてしまったのだから、跡形もなく塵となった。


「お気に入りでしたのにぃー」
「いつまでもいじけるな。普通、命が助かったから良かったと思うものだぞ」
「じゃあ新しいの買ってくださいますか?」
「いくつも持っているだろう」


そっけなく返す。
またもやネイトゥは頬を膨らませる。


「・・・」


そんな様子を見て勝はため息をつく。


「一度<あいつ>に報告し終わったら買いに行ってやる」


そういうと、パアッとネイトゥの顔が輝いた。
大げさだな、と単純だな、と同時に思った。


「ありがとう御座いますわぁ、勝!」
「あぁ、分かった。分かったから普通にしてくれ、手が千切れそうだ」


ブンブンッと手を勢いよく上下に振っている。
嬉しさのあまりの行動だろう。
しかし勢いが強すぎるので勝は顔を少々歪める。


「・・・あのドラゴンをどうするかだな」
「というより、ここはどこですの〜?」


今更か、というようなことをネイトゥは言う。
勝は思わず恨みがましい目を送る。
それに気付いてネイトゥは後ずさる。


「な、な、なんですの〜・・・?」
「ネイトゥ・・それは普通仮面よりも先に言うことだと思う」
「え、そ、そうですの〜?ワタクシ、仮面の事となるといてもたってもいられなくなってしまいまして・・・」


キャッ、といって両手で顔を覆う。
顔が赤いから恥じているのだろう。
しかし勝からはため息しかでない。


「・・・もういいか、ネイトゥ」
「はい、よろしいですわよ!」


勝はもう一度ため息をついた。


「自分たちはあのドラゴンにここまで飛ばされた。しかし、ここはまだあのドラゴンの私有地だ」
「ドラゴンに私有地などいうものがあるのですね〜。ワタクシ初めてお聞きしましたわ〜」
「・・・図で表すと、今はこの辺だ。自分たちがいたところはここで・・」
「まぁ、結構な距離を飛ばされたのですね〜・・。それで、どうやって屋敷まで参りますの〜?」


疑問を口にする。


「もうなんか・・疲れた」
「えぇっ!?勝、いかがなさいました!お気を確かにーっ!」
「襟を掴んでゆするな!普通に気持ち悪い!」


襟首をつかまれ前後に揺らされる。
勝は吐き気を覚える。


「・・うっ」
「勝!吐くのですか!?何故ですの〜!」


思わずお前のせいだと、いいそうになったのを勝はこらえた。


「・・と、とにかく・・。自分たちはあのドラゴンを倒した方が普通に良いと思う」
「分かりましたわ〜。ドラゴンを倒して館に参りますのね。・・けれど、ここは<あいつ>の・・」


ふと首を傾げてみた。