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複雑・ファジー小説
- Re: 妖怪を払えない道士【第二十三夜完成】【参照700突破】 ( No.149 )
- 日時: 2011/08/28 16:28
- 名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: eQKaGfKy)
第二十四夜 序章
薄暗い雲が空を覆い、ゴロゴロと雷の音が聞こえ、激しい雨が地面に打ちつけるなか、一人の女が倒れていた。
大量の血を身体から流し、虚ろな瞳で空を見上げていた。
その隣には、鎌が転がっていた。
何者かと戦って、敗れたと思われる女はもういつ死んでもおかしくない状態であった。
女は、ゆっくりと口を開く。
「私、は……」
かすれた声が出る。
その場に、一人の少女が来て女の隣にしゃがみ込む。
空のように蒼く長い髪に、綺麗な花柄の着物を着ていた。
その表情は、どこか嬉しそうだった。
「このままだと、死んじゃうね。ねえ、死にたくない?」
少女の問いに女は頷いた。
少女は、嬉しそうに笑い、
「じゃあ、あなたを妖怪にしてあげる。妖怪になれば、不老不死になれるし、死ななくて済むわ。うーん、あなたは何の妖怪かしら?」
少女は、女の隣に転がる鎌に目を向けた。
「鎌女でいいわね! そうしましょう」
「あなたは……一体……」
「私? 私は、星宣(せいせん)って言うの。でも、私があなたを妖怪にしたって誰にも言わないでね。私もきっと、ただでは済まないから」
「分かった……」
「うん、ありがとう! 本当に言わないでね? もし、言ったらあなたのこと殺しちゃうから。バレたら、死刑だろうし、羅宣姉さまにも嫌われちゃうと思うの」
少女は、女に手をかざした──。
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