複雑・ファジー小説
- Re: 妖怪を払えない道士【闇鴉はニコニコ】 ( No.18 )
- 日時: 2011/08/06 10:43
- 名前: 王翔 (ID: FAB9TxkG)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id=699
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挿絵らしきものです。
アメ小僧は男なのに髪ピンクなのは仕様。
第八話
「おはようなの!」
「う……」
布団で気持ち良く眠っていたのに、腹に思い衝撃を感じた。
目を開けて見ると、目をキラキラさせているアメ小僧の姿があった。
「どけ、このガキ」
「ガキじゃないのー」
アメ小僧は、ほっぺをプクプク膨らませながらどいた。
私は起き上がると早々に布団を出た。
「おはよー☆千羅ちゃん、よく眠れた〜?」
上機嫌に質問してくる闇鴉。
「いや、まったく……」
妖怪二匹に囲まれた状態でまともに眠れるわけがない。
コイツら、別の部屋に隔離したいところだが、すぐに壁をすり抜けてこの部屋に戻ってくるものだから仕方ない。
軽くため息をついた。
まだ、問題が残っている。
コイツらを知り合いの道士にどう説明するか。
姉上は、納得してくれたがみんながそうだとは限らない。
「……」
「千羅タマ、早くアメちょーだいなの!」
アメ小僧が物ほしそうにこちらを見つめてくる。
「やればいいんだろ、やれば」
引き出しに入っていた飴をアメ小僧に手渡した。
アメ小僧は、ぱあっと笑顔になる。
「ありがとうなの!千羅タマ、とっても可愛いの!男にしか見えないなんてこれっぽっちも思ってなかったの!」
ケンカ売ってんのか。
ナイフを探したが、流石にこの部屋にはなく、諦めた。
「ねーねー、千羅ちゃん。散歩いかないのー?」
次は、闇鴉がにこにこしながら聞いてくる。
「……行けばいいんだろ、行けば」
「うんうん」
太陽がギラギラ照りつけるなか、散歩をしていた。
暑いこの時期は、やはり多少、暑さを凌げる森のなかを散歩する。
「ねーねー☆ほら、あの毒キノコ、とってもおいしそうだよ〜」
またしても、闇鴉が笑顔で森の素晴らしさ(食用として)について語っていた。
「ボクは飴しかいらないのー」
「葉っぱもおいしそうだよ〜」
「そんなにおいしそうだと思うなら、さっさと食って腹壊せ」
「千羅ちゃん、ひどいな〜」
その時目の前の茂みが揺れる。
「危ないのです」
「え?」
茂みから、狼の姿をした妖怪が姿を現した。
ザン
妖怪は一瞬で刀で切り裂かれ、消滅した。
そこにいたのは、一人の少女。一つに束ねた金色の髪をなびかせる……
「日鞠か」
「そうなのですよ」
日鞠は、可愛らしく笑った。