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複雑・ファジー小説
- Re: 妖怪を払えない道士【闇鴉はニコニコ】 ( No.22 )
- 日時: 2011/07/19 15:29
- 名前: 王翔 (ID: 9hX401bZ)
第十話
「眠い……」
朝、何とか起きたものの、眠くて目をこすった。
台所の調理台で包丁を持ちながらボーっとしていた。
「千羅ちゃん、おーい!」
いきなり声をかけられ、慌てて振り向いた。
そこには、にこにこと笑顔を浮かべる闇鴉が立っていた。
「な、何だ?」
「包丁持ったまま、ボーっとしてたら危ないよー?」
「分かってる……ほら、もうできたし、勝手に食ってろ」
私は、包丁を置いて言った。
「わーい、おいしそうだね〜」
「ご飯できたの?食べていいの?」
いつからいたのか、隣に立っていたアメ小僧がそわそわした様子で質問してきた。
眠くて、喋るのが煩わしかったので黙って頷いた。
「わー、うれしいなの」
アメ小僧は、早速食べ始める。
妖怪も人間と同じ食べ物を食べられるらしいことは、最近知った。
まあ、妖怪を退治するだけでは知らないままのこともあると言うことだ。
「ところで、天羅さんはどうしたの〜?」
「姉上は、忙しいからな。大体、私達が起きる前にここを出てる」
「そうなんだね〜大変そうだね」
「ああ…」
返事をすると、台所から出た。
とりあえず、まだ眠い目を覚ますために散歩をすることにした。
まだ朝早いので、外は涼しくちょうど良かった。
いつもの森のなかを歩く。
今日は、闇鴉を置いてきたからいつもの森のすばらしさ(食用として)は聞こえてこない。
ガサ
不意に、木々の葉が揺れたかと思うと、目の前に白い羽を背の生やした青年がいた。
恐らくは、妖怪だろう。
「千羅殿…可哀想に……」
ソイツは、笑いながら告げる。
「力をなくした、哀れな道士……」
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