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複雑・ファジー小説
- Re: 妖怪を払えない道士 ( No.4 )
- 日時: 2011/08/06 10:03
- 名前: 王翔 (ID: FAB9TxkG)
第三夜
白とピンクで彩られた部屋には、開け放たれた窓から夜風が入ってきていた。
「ねーねー、千羅ちゃんのお姉さんってどんな人〜? すっごく気になるなるな〜」
にこにこしながら闇鴉はそう聞いてきた。
宙にふわふわ浮いてるのが気になって仕方ない。
「闇鴉、お前……浮くな」
「え〜なんで?」
不思議そうに首を傾げる闇鴉。
「目がおかしくなるだろバカ」
「そうなの?」
闇鴉はふっと足を床につけた。
私は窓から外の様子を眺める。
外は、真っ暗で遠くに複数の明かりが見える。恐らくは民家だろう。
それにしても、まだ姉上の姿は見えない。
もう帰って来てもいい頃だが……
そう思いつつ目を凝らしたが人影は全くと言っていいほど見えなかった。
「どうしたのー?何見てるの?」
闇鴉が気になるといった様子で窓を見る。
「何でもいいだろ」
私は窓から離れ、布団に座った。
布団の脇に置いてある目覚まし時計を手に取り、時刻を確認する。
時計は十時を指していた。
そうしていると睡魔が襲ってきて目をこすった。
「もう、寝るか……べつに、明日でもいいよな、うん」
玄関から声が聞こえた。
「ただいまー」
「あ」
私は思わず声を漏らした。
「あ、もしかしてお姉さん?」
「……行くか」
立ち上がると、部屋を出た。
私は、姉の天羅に全てを話した。
姉上は笑顔で、頷きながら、
「そうなの?いいんじゃないかな?」
「え……?」
あっさりな反応で、正直驚いた。
「だって、大道士になるのは、千羅の夢でしょ?そのためなら、どんな方法を使ってもいいよ」
「あー…そうだな、ありがとう」
とりあえず笑ってみた。
「頑張ってね。闇鴉さんもよろしくね」
姉上は、そう言って闇鴉にも笑いかける。
「よろしく〜」
「……」
しかし、こんなもので大道士になれるだろうか。
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