複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第17話更新! ( No.31 )
- 日時: 2011/07/27 11:02
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第18話 「戦火の町 前編」
今、エアロバードは地上のある町から離れた所に着陸していた。
存在がばれることがあってはならないので、森の中に着陸している。
「ジーク、フェリス。調子はどう?」
セリアは愛用しているペットボトルに入った水を飲んで言う。
「魔法石にも問題なし。大丈夫です。」
「システム的にも大丈夫です。
ジークとフェリスは言う。
「あとは・・・買い物待ちね。」
ーーポルン町ーー
ここは「ポルン町」と呼ばれる町だ。
レジスタントの支配下ではあるが、のどかな町だ。
「よし♪ こんなもんかなぁアキト?」
たくさんの食料を持ってリフィルは言う。
「・・ああ。・・・重いな。」
アキトはリフィルの持つ量の三倍ぐらいの食料を持っていう。
「さすがアキト♪ 力持ち!!」
「・・早く持っていこう。」
リフィルの言葉を軽く流し、アキトは早歩きで歩いていく。
「おーい。お二人さん。」
その光景を見たレイは手を振りながら近づいてくる。
「・・レイか。」
「おう。アキト・・すげえ量もってんな・・。」
レイはアキトの持っている大量の食料を見て苦笑いする。
「ホープは?」
気になったリフィルは尋ねる。
「ああ。ホープはなんかこの町の様子が気になったみたいで・・」
「・・・様子?」
アキトは首をかしげる。
「なんかおかしいんだと。・・確かに今日はやけにレジスタンスが多かった。・・・なんかあるかもな。」
「それをホープは調査中ってことね。」
「そういうことだ。」
リフィルの鋭い察知に、レイは親指を立ててポーズを決める。
「・・気になるな。」
「俺らもいってみるか?」
レイはアキトに言う。
「・・・行こう。リフィル。荷物を船まで持って行ってくれ。セリアにも伝えてくれ。」
「私一人で!?」
アキトの言葉にリフィルは驚く。
だが、アキトは見透かしたように、
「・・・風の力を使えば楽なんだろう? これくらいは。」
と言うと、リフィルはくすっと笑って、
「・・お見通しだね。アキトは。」
リフィルはえへへと言って笑う。
「・・なぜ俺に持たせて一緒に帰ろうとしたのかは全然分からなかったがな。」
「ええぇぇ!? ・・・むしろそっちに気付いてほしかったな・・。」
リフィルはもじもじしながら言う。
「・・・すまない。頼んだぞ・・。」
アキトはそう言うと町の中を駆けていった。
レイも「頼んだぜちびっこちゃん!!」っといって追いあけていった。
「・・・アキトともっと一緒にいたかったな・・。」
リフィルは肩をガクッとおとし、風の力ですべての食料を持って飛んで行った。
アキトとレイが町の中心部に行くと、レジスタンス兵が大勢いた。
何が起こるのか分からないと心配そうに見つめる多くの民衆の中には、ホープの姿もあった。
「ホープ。これはいったい・・。」
レイが近くに行って小声で話す。
「・・わからない。今から演説が始まるらしいよ。」
ホープもそう答えると、一人の兵士が、
「聞けええぇぇ!! この町、ポルン町の長、グロア様の演説だ。」
兵士がそういうと、一人の大男が民衆の前に姿を現した。
身長は2メートル以上ありそうだ。
その男の右手は、なんとカニのはさみみたいな大きな手をしていた。
どうやら、義手のようだ。
「がははぁぁ!! この町はもう終わりだ。」
グロアと呼ばれる大男は笑いながら言う。
「この町は、レジスタンスの権限により爆破する!!」
この言葉に民衆は一気に固まる。
「この町に爆弾を仕掛けた。爆発は30分後。それまでに逃げろよ。」
グロアは、「がはは!!」と高らかに笑う。
民衆の声が一気に悲鳴に変わった。
町は混乱し、パニックになる。
「聞いたか!? なんてこった!!」
レイは頭を抱え言う。
「どうするの!? セリアさんとは今は・・。」
今通信機は、船とつながっていないため、連絡が取れない。
「・・・行くぞ。」
「どこにだよ!?」
アキトの言葉にレイは尋ねる。
「・・まず、あのグロアという奴に聞こう。どこに仕掛けたか・・。」
「無理だよ。絶対に吐かないと思うよ。」
「・・・いずれにせよ・・俺はあいつを許せない・・。」
アキトはこぶしを強く握り言う。
「気持ちはわかるが・・・。」
レイはアキトを抑えるように言う。
「俺は・・・あいつを倒す!!」
アキトはグロアが向かった方向へ走って行った。
「・・・やれやれ。ホープ。頼みがある。」
「・・まさかレイ!?」
ホープの言葉にレイはうなづいて、
「そのまさかだ。俺はアキトと行く。」
レイの言葉にホープは耳を疑った。
「・・・本気で言ってるの?」
ホープの問いかけにコクッと頷く。
「ホープは人命救助をまかせる。ころあいが来たら・・逃げろ。」
「レイ・・・必ず無茶はいけないよ。」
「分かってる。あいつのためにも・・・死んでたまるかよ。」
レイはアキトを追いかけていった。
「レイ・・・アキトを頼んだよ。」
ホープはそっとつぶやく。