複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第19話更新! ( No.33 )
- 日時: 2011/07/29 01:03
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第20話 「炎の女剣士!! 前編。」
季節は春と夏の間。
アキトがこのチームに入ったときは5月くらいで、今は6月。
ポルン町の騒動から、数日後・・。
この日のミッションは・・「サンライズタウン」の偵察調査。
セリアはこのミッションにホープを選出し、向かわせた。
ーー「サンライズタウン」ーー
ホープは片手にリンゴを持ち、食べながら偵察をしていた。
「うん。リンゴはやっぱりうまいなぁ。」
ホープは率直な感想を漏らす。
「でも・・・暑いや・・。」
今日の気温は最近の気温よりはすごく暑い。
その気温に思わず言葉を漏らす。
この町は珍しい街だ。
数少ないレジスタンスに反抗する町。
レジスタンスの支配下にはあるようだが、服従はしていないようだ。
「・・なんかイキイキしてるなあ。この町。」
ホープはリンゴをシャリシャリ食べながら言う。
いろいろ回っていると、なにやら民衆が騒がしくなってきた。
どうやら何かが行われているらしい。
「なんだろう・・喧嘩かな?」
ホープは騒がしい声の方向に向かった。
見ると、広場の周りには人が大勢集まり、騒いでいる。
その中心を見ると、なんと男と女が木刀で戦っている。
だが様子を見ると、明らかに喧嘩ではない。
むしろ・・・何かの遊びのようにも見える。
だが顔つきは二人とも真剣だった。
「ぐわぁぁーー!!」
男は倒れこみ、「まいった。」と言う。
それを聞いた女は、そっと手を差し伸べる。
「大丈夫ですか? ごめんなさい。私が勝ってしまいました・・。」
「・・あいかわず嬢ちゃんは強いし、優しいなぁ。」
その行動を見て、人々はパチパチと拍手をする。
「いい腕してるなあ・・あの子。」
ホープが感想を述べていると、
「さあ!! 次はだれがこの最強のお嬢ちゃんに挑戦する?」
この対決の審判らしき人が声を張って言う。
「いえ・・私は全然強くなんて・・はうっ!!」
ブンブンと手を振りながら後ずさりをしていた少女はいきなり何もないところでずっこけた。
「・・あらら。」
民衆が大笑いする中、ホープは近づいてそっと手を差し伸べる。
「けがはない?」
少女は顔をトマトのように赤くして、
「あ・・ありがとう・・。ごめんなさい・・。」
小さくつぶやく。
「おっと!! 新たな挑戦者だあーー!!」
「・・へ!?」
審判がホープを指さして、高らかに叫ぶ。
それに対してテンションが上がる民衆。
それに対して呆然とする二人。
「ちょっと・・・僕は・・ただ」
「今更逃げるのかいボーイ? 男なら真っ向勝負だろう!?」
審判の言葉に、民衆のテンションはさらに上がる。
ホープは周りの民衆に圧倒された。
「・・・仕方ない。ここまで上がったら・・引き下がれないよね。」
ホープの言葉に民衆は歓声を上げる。
「でも・・あの・・その・・。」
テンパって何も言えない少女にホープは笑いかけて言った。
「・・いきなりだけどよろしくね。えっと・・名前は・・。」
「い・・イブです。えっと・・あなたは?」
「僕はホープ。君の実力・・楽しみ。」
ホープはにこっと笑う。
「えっ・・・ご・・ごめんなさい。」
「えっ!? あ・・なんで謝るの!?」
「ご・・ごめんなさい!! 私・・弱いから・・。」
イブは弱弱しく言う。
「そんなことないよ。男の人に勝ったぐらいだし。」
「えっ・・えええー!! ご・・ごめんなさい。」
「・・・あれ!? なんで謝るの??」
「・・・ごめんなさい。」
「・・なんか・・ごめん。」
「いや・・・私が・・。」
「いや・・俺が・・。」
「・・・・・・あの〜。初めてもよろしいですか?」
いつの間にかごめんなさい対決になってる二人に審判は声をかける。
二人は我に帰り、二人そろって、審判に「ごめんなさい。」と言う。
そして二人は渡された木刀を手に取って構える。
「お互いにいい試合をしようね。」
「はい!!」
「では・・・はじめ!!!」
鐘の音が鳴った瞬間、二人は同時に接近した。