複雑・ファジー小説

Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第20話更新! ( No.36 )
日時: 2011/07/29 10:16
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第21話  「「炎の女剣士!! 後編。」


鐘が鳴った瞬間、二人は一気に接近する。
二人の持つ木刀がぶつかり合う音が広場に響く。

「えいっ!!」
イブが先に動く。
イブは積極的に攻撃を連打する。
ホープはそれを丁寧にはじいていく。
(くっ・・・予想以上に強い!!)
そう思ったホープはいったん距離を置く。

ホープは基本、「ものまね」の能力を使い敵と戦っている。
が・・別に使わなくても、接近戦の武器ならある程度は戦えるのだ。
まあ・・基本的に素手で戦うのがホープは好むのだが・・。

「ええぇーーい!!」
イブはまた近づき、木刀で斬りつける。
それをホープは受け流し、流れるように横に斬る。
だがその攻撃を、イブがしゃがんでかわす。
(この子・・さっきと比べて積極的だし、それに反応速度がすごい。)

ホープは今までレジスタンスと戦ってきたが、ここまではいなかった。
さっきの攻撃はホープ自身、かわされるとは思っていなかった。
だが・・それをゆうゆうとかわした。
しかも・・女の子で。
反応速度だけなら、アキトと同格のものを持っているのかもしれない。
(・・これは普通の男の人では勝てないね。・・・だが!!)

イブがしゃがんだ位置から、上に向けて振り上げる。
それをぎりぎりでホープはかわす。
そこからホープは積極的に攻撃をしかけ、イブも負けてはいない。
カンカンと木刀の音が連続で鳴り響く。
その音とレベルの高い戦いに、観客のテンションは頂点に。

「はあっ・・はあっ・・!!」
先に息を切らしたのはイブ。
女性はやはり男性よりも体力はない。
ホープはいつもの実戦で慣れっこなので、全然息を切らしていない。
ホープはこれを狙っていた。
「そろそろかな。行くよ。イブ!!」
ホープは一気に接近し、イブに猛攻を仕掛ける。
攻撃の嵐を繰り出すホープに、押されていくイブ。
「う・・くっ・・はぁっ・・。」
攻撃を冷静に受け流すイブだが、一瞬、態勢を崩した。
「あっ・・!?」
イブがつまずいて、こけると思った時だった・・

「あぶない!!」
ホープはとっさにイブの手をつかみ、こけるのを防ぐ。
「ふう。大丈夫かい?」
「あ・・・ありがとうございます。」
さっき助けてもらった人に・・しかもまさか戦闘中にまた助けられるとはイブは思っていなかった。
そのため、驚きと恥ずかしさがこみ上げる。

「どうやら・・・僕の負けみたいだ。」
「えっ・・・!?」
ホープはイブを助けるために、とっさに持っていた木刀を落とした。
審判がそれに気が付くと、
「ああぁーーっと!! ホープ選手が木刀を落としたため・・」
審判はイブの手を取り、
「勝ったのはイブ選手でーーーす!!!」
叫びながら、手を高々と上げた。
観客の歓声と拍手が響く。


「じゃあ僕は帰るよ。」
すっかり楽しんだホープはイブに言う。
「・・・ごめんなさい。本来はあなたが・・。」
イブが頭を下げて言う。
「運も実力の内・・って言うでしょ? 僕が運が悪かっただけだよ。」
「・・・でも・・。」
ホープは笑って言う。

「今日は君が勝った。でも今度は負けない。リベンジしにくるから。」
ホープはにこっと笑って、
「それまでに・・・もっと強くなっててね。」
「・・はい!!」

ホープはイブに手を振って、町から出て行った。


ーーエアロバード内ーー

ホープは船に戻ってきて、さっそく司令室に行った。
「お疲れ様。遅かったわね?」
ホープが司令室に入ると、すぐにセリアは尋ねた。
「すごい強い子がいたんですよ。すごく・・・。」
「・・・ホープ。調査は?」
熱く語ろうとするホープに、セリアは尋ねる。

「あ・・とりあえず異常なしです。」
どうやら落ち着いたようだ。
「そう。能力者?」
「いえ・・違います。普通の女の子です。」
「・・へえ。」
ホープの答えに、微笑むセリア。

「とりあえずお疲れ様、そしてありがとう。ホープ。」
セリアはそういうと、

「いいですよ。僕も久しぶりに遊べたので・・満足です。」
ホープは笑って言って、司令室を出ていった。