複雑・ファジー小説

Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第21話更新! ( No.37 )
日時: 2011/07/29 20:43
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第22話  「レイの一日。」


これは、レイの日常生活を記したものである・・。


午前10時、いつもどうりレイは起床した。

大きなあくびをして、立ち上がるとまず顔をジャブジャブと洗う。
顔をふいた後、さっそく着替えを始める。
水色の水玉模様のパジャマを脱いで、いつもの服に着替える。

着替えが終わると、レイはある場所に向かった。
それは・・食堂である。

食堂に入ると、ホープが一人黙々と食べているのに気づき、
「よう、ホープ。」
と声をかける。
「やあ。おはよう。」
ホープはにこっと笑い言う。

レイはフレンチトーストと熱いコーヒーを持って、ホープの横に座る。
「いつもそのセットだねレイ。」
ホープはモグモグと食べながら言う。
「・・ホープもあいかわらずよく食べるな。」
ホープの前にずらりと並べられた料理を見て言う。
「そう? 三人前ぐらいと思うけど・・。」
「・・十分だよ。」
ホープの食いっぷりには毎度驚かされる。
食料の減り具合の半分はこいつと言っていいほどだ。

「アキトは?」
レイはそういえばと思い出したように言う。
「連行されたよ。・・リフィルに。」
「・・・つまりデート・・か。」
今日は緊急ミッションがない限りは休みの日。
外出は一応認められている。
「・・どうなるんだろうなあの二人?」
ふと思ったことが、つい言葉に出てしまったレイ。
「お似合いじゃない?」
「・・でもアキトは気付いてないんだぜ?」
「・・・そうだったね。」
レイの言ったことに、ホープは苦笑いをする。

ホープは食べ終わると、「さて!!」と言って、
「ごちそう様。先に失礼するよレイ。」
そういうとレイを残して、部屋を出て行った。
取り残されたレイはムシャムシャと静かに食べていた。


午前12時、レイは射撃場に向かい、訓練する。
はるか向こうの中央に的が出現し、その的には得点が書いてあった。
最高点は・・半径1cmぐらいしかない中心部の100点だ。

自分の愛用の銃を取り出し、それを合体させる。
スナイパーライフルにして、静かに構える。
目標は・・・約500m先。
放たれたレーザーはきれいに中心を貫く。
合計30回やって出た合計の得点は・・・

なんと3000点。
つまりパーフェクト。

レイはこれを10セットし、全てパーフェクトで終えた。
レイはふう・・と息を吐くと、射撃場から出て行った。


午後7時。
腹を空かしたレイが食堂に入ると、アキトとフェリスがいた。

「ようお二人さん。どうでしたか?」
レイが尋ねると、
「・・・リフィルは満足だったようだ。」
「えへへ。服いっぱい買っちゃった♪」
リフィルは喜んで言う。
レイはやれやれとため息をつく。
「・・アキトはどうだった?」
「・・・俺は荷物持ちだから・・なんとも・・。」
「・・・・アキト。大変だったな・・。」
レイはアキトに小さく「お前はよく頑張った」と呟く。
アキトも「ああっ・・。」と小さくつぶやく。


食事を終えた午後9時。
レイは部屋に帰ってきた。
ベットに座り込むと、ある一枚の写真を取り出す。

恋人・・アイカの写真だ。
「アイカ・・・今日はめずらしく平和な日だったように思う・・。」
レイは写真に写るアイカに話しかける。

いつも一日一度レイはこの時間をとっている。

「思えば・・今日誕生日だったな。」
レイはふとカレンダーを見て気づく。
6月17日・・・アイカの誕生日。

「おめでとうアイカ。」
そっとつぶやく。
その言葉は・・弱弱しかった。
レイはそっと言う。

「この日いつも思うよ・・・俺は。」
レイは一瞬悲しそうな顔を見せる。
それから・・・口を開く。


「お前が・・生きていりゃ・・ちゃんと祝ってやれるのに・・。」


レイの目から落ちた涙が、写真の上にぽたりと落ちる・・・。