複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第22話更新! ( No.38 )
- 日時: 2011/07/30 00:23
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第23話 「愛を奪われた青年 過去編(レイ編) 前編。」
ああ、あの日もそうだった・・・。
お前にとって特別な日だった。
それが・・・なんでだろうな。
なんでこの世界は・・・腐ってるんだ。
・・これはある青年の過去の物語。
ここはルイシティ。
比較的人口が多くて、にぎやかな町。
レジスタンスの支配に負けず、活気があった。
活気な町に住む18歳の青年「レイ」は急いでいた。
人ごみを華麗にかわし、あるところに一直線に進む。
「やべぇ・・遅れた。怒るかなあ・・あいつ。」
どうやら遅刻のようだ。
目的の場所につくと一人の女性が待っていた。
「遅いよ〜レイ。何してたの?」
待ちくたびれた様子の女性は言った。
「すまねえアイカ!! ごめん・・。」
「・・別にいいよ。私もいま来たとこだし。」
アイカは、にこっと笑うと、レイの手を引っ張っていく。
「さ!! 早くいこ!! 時間ないよ?」
「わ・・わかってるから。手ぇ放してくれ〜。」
無理やり引っ張っていくアイカにレイは言う。
時間がたち、もうすっかり日が落ちていた。
「楽しかったね!!」
「ああ。」
アイカの言うことに微笑んで頷くレイ。
「もうこんな時間か・・そろそろ帰らなきゃ。」
アイカがそういうと、レイは時計を見て・・
「・・そうだなあ。じゃあそろそろ帰るか。」
レイはそう言うと、アイカを連れて町の入口に向かった。
アイカはこの町に住んでいない。
隣町に住んでいるのだ。
いつも町と町を移動する馬車に乗って、この町に来ていた。
アイカは入口で馬車に乗ろうとしたとき・・
「アイカ!!」
レイはふとアイカを呼び止めた。
「何?」
「明日お前・・誕生日だろ?」
そう。
明日は6月17日。
アイカの誕生日だ。
「う・・うん。」
アイカが頷くと、レイは続けて言う。
「じゃあ夜・・俺の家に来いよ!! 盛大に祝ってやる!!」
レイが親指を立てて言う姿に、アイカはくすっと笑い、
「・・ありがとう。」
アイカは微笑む。
それにつられて笑う。
「じゃあ行くね。バイバイレイ!!」
アイカが手を振って去っていく姿をレイは笑顔で見送った。
レイにとっても、明日は特別な日だ。
人生に関わるような・・大切な日だ。
明日アイカは18歳になる。
レイは一つの箱を取り出し、ギュッと握りしめる。
(明日・・・俺は・・。)
その箱をまたそっとポケットに直す。
そして、自宅に戻った。
次の日。
ついにアイカの誕生日。
内心はすぐにでも祝ってやりたい。
だが・・二人とも、夜まで仕事だ。
しぶしぶ仕事に向かい、レイは熱心に働く。
(早く・・・夜にならないかな。)
そのころ、アイカは・・
(早く会いたいな・・。)
レイに会いたい気持ちでいっぱいだった。
なにせ自分の誕生日を祝ってくれる最愛の人。
会いたくないわけがない。
夕方、ついにアイカは仕事が終わった。
アイカは急いで仕事場を出る。
やっと・・
やっとレイに会える。
まっててね、レイ。
だが・・・・非情にも、事件は起きた。
「どうもです♪ 村の人々さん。」
そういって、町に入ってきたのは・・レジスタンス兵。
民衆は一気に不穏な空気になる。
「僕ちゃんの名はハデス。七星の一人、幹部だよ〜。」
ハデスはけらけらと笑い言う。
「さて、問題で〜す。僕ちゃんはナゼ来たでしょう?」
ハデスはにこにこと不敵に笑い、言い放った。
「君たちを・・・殺すためだよぉーー!!!」
ハデスのその言葉を聞いて、民衆の背筋は凍る。
「理由は簡単。なんとな〜く♪ 気分ってやつ??」
多くのレジスタンス兵が武器を構えて、町に入ってきた。
「ひゃあぁぁーーははははははぁーー!!!! ・・・死ねよ。」
ハデスが言うと、その町の平和の「音」は・・・・
人々の悲鳴とハデスの笑い声の「音」に変わった。