複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第23話更新! ( No.39 )
- 日時: 2011/07/30 21:33
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第24話 「愛を奪われた青年 過去編(レイ編) 後編。」
「おい・・隣町がレジスタンスに襲われたらしい・・。」
夜、ルイシティの民衆は騒ぐ。
それに対して、一番驚いたのは・・レイだった。
顔は真っ青になり、民衆をかぎ分け、走り出した。
息を荒くして・・町を勢いよく飛び出し走る。
嘘だ・・・。
そんな馬鹿な!!
レジスタンスが・・・なぜいきなり!?
レイの頭で疑問が回り続ける。
隣町に続く夜の道を、ひたすら走る。
アイカ・・アイカは無事なのか・・?
無事でいてくれ・・・アイカ!!
隣町についたレイ。
だが・・目の前に飛び込んだ光景は・・非情だった。
燃える家。
倒れる人々。
静かな音。
これだけで状況説明は十分・・というぐらいだ。
レイは走り回る。
たった一人・・・愛する人を探して。
レイは片っ端から探していく。
ただただ、燃える音しかしない町。
夜のくせに燃える炎によって、明るい街。
人の声はもちろんない。
この事件の張本人、レジスタンス兵はもういない。
レイはひたすら探す。
だが見つからない。
レイの心を絶望が支配する。
アイカ・・・どこにいるんだ・・。
生きているなら・・返事をしてくれ。
そう願ったその時・・。
レイ・・・・。
ここにいるわ・・。
ここに・・。
レイは何かを感じた。
声ではなく・・・何かを。
「・・・アイカ!?」
レイは走り出す。
声じゃなく、心の声を頼りに・・。
(ここからだ!! ここから聞こえる・・。)
木材の山の前で、レイは立ち止まる。
そしてすぐに、木材を手でどけていく。
木材で手を切って、手から血が流れる。
でも今のレイは何も気にしなかった。
ただ・・・木材をどける。
「アイカ!!!!」
木材をどけていくと、そこにはアイカがいた。
頭から大量の血が出て・・生きているのか分からないぐらいだ。
レイは木材の山からアイカを救い出す。
「大丈夫か!? アイカ!! アイカァーー!!」
レイは必死に揺さぶる。
それに気づいたのか、アイカはゆっくりと、少しだけ目を開ける。
「アイカ!! よかった・・無事で・・・。」
レイは目を開けたアイカを強く抱きしめる。
目にうっすらと涙を浮かべて。
「レイ・・・」
アイカはふっと微笑む。
「アイカ・・・大丈夫だ!! お前は助かる・・。」
レイがにこって笑って言うと、
「・・・ううん・・私は・・もう・・駄目よ。」
アイカは静かに言うと、
「何を言っているんだアイ・・・。」
「もう・・・意識が・・失いそうなの・・。だから・・きい・・て?」
アイカは話を続ける。
「私・・幸せ・・だったよ? レイにあえて・・。」
「・・おい・・アイ・・カ?」
アイカはレイの頬にそっと手を添える。
「レイ・・ごめんね・・。・・・本当に・・・ごめん・・ね。」
アイカの目から涙があふれる。
「レイ・・・幸せな・・世界を・・・作って?」
「アイ・・カ・・。」
レイは悟った。
これが・・別れの・・言葉・・?
そんなの・・ありえねえ!!
なんでだよ・・・せっかく・・・会えたのに・・。
「みんなが・・安心・・して・・住める・・世界を・・お願い・・。」
・・やめろ。
言うな・・。
「私が今度・・・生まれてきても・・・安心して生きれる世界・・。」
それは・・・違うだろ・・。
今じゃない。
お前は・・生きなきゃいけねえんだよ。
「レイ・・・私の誕生日なのに・・・ごめんね・・。」
お前は・・・俺と・・・。
俺とこれからも過ごすんだっ・・!!!
「私は・・・幸せ・・・・・でした・・・。」
「そんな・・・そんなこと・・今言うんじゃねえぇぇーー!!」
レイは声を震わせていう。
涙も・・・止まらなかった。
「・・・・レイ・・最後に・・・言わせて・・。」
アイカは微笑む。
そして、レイの耳にそっとつぶやく。
愛してる・・・レイ・・・。
そして・・・アイカはそっと目を閉じる。
鼓動が・・・・・完ぺきに止まった。
その顔に・・・優しい微笑みを残して・・・・・。
「アイカァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
レイはひたすら叫ぶ。
愛する人を・・強く抱きしめて、泣き叫ぶ。
泣き叫ぶレイのポケットから、箱が転がり落ちる。
中身は・・・婚約指輪だった。
きれいに輝く婚約指輪。
だがそれが・・・彼女の手に輝くことはなかった。
