複雑・ファジー小説

Re: スピリッツ ( No.4 )
日時: 2011/07/20 10:40
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)

   
   第3話  「超人と狙撃手」



「行くぞ!!」
少年はホープに一気に詰めて縦切りした。
ホープはそれを右にかわし、右手でパンチを繰り出した。
だが、そのパンチをかわし、横に薙ぎ払った。

(まずい!!)
とっさにホープは後ろに大きくジャンプし、きれいに着地した。



「・・さすがホープだな。あのスピードについていけるとは。」

ホープの特殊能力は「コピー」。
一度見た能力の大概は自分のものにできる。
そしてこれに加えて、ホープはもともとの身体能力がすごい。
普通の人の3倍ほどで、これは身に着けたものではなく、初めからである。

このような人間を「超人」という。

・・だが一つ疑問だ。
なぜ少年が逆についていけるんだ?
むしろ少年のほうが速い。

まさか・・超人か・・??

「・・って言ってる場合じゃねえな。俺も戦うか。」



あいかわらず壮絶な接近戦が繰り広げられていた。

(この子・・何ものなんだ? 僕より速い。)
と考えてるうちに、少年は懐に入った。

「はあっ!!」
少年は鞘でホープに突きを繰り出した。

(まずい!! 仕方ない。)
「ウインドフィールド!!」
ホープの目の前に風の壁が出現し、攻撃から守った。

「・・くっ!!」
少年ははじかれて、バックステップで距離をとる。

「あぶなかった。ちなみに今のも真似した技だよ。」
「・・まだまだ!!」
少年がまた近づこうとしたとき、

(・・なにかくる!!)
少年はとっさに体をひねりながら、2発のレーザーをかわした。

「うお。やるね〜。俺の二丁のレーザー銃、ダブルショットの攻撃をかわすとはな。外さないつもりだったんだが・・」
レイは残念そうにいった。


レイは通称「狙撃手」。
相方は「ダブルショット」と呼ばれる二丁のレーザー銃。
命中は大体9割。射撃戦では無類の強さを誇る。


「・・狙撃手か。先に叩く!!」
少年はレイのほうに近づこうとする。
だが・・別の方角からレーザーが3発襲ってきた。

(なに!?)
少年はいきなりの攻撃に態勢を崩しながらもかわした。
その方角を見ると、攻撃したのはホープだった。

「僕もレイの真似ができるからね。もちろん、武器もそのまま真似して作り出せるよ。ただ・・9割とはいかないけどね」

ホープはレーザーを連打して打った。
それをかわしたり、鞘ではじいていた。

「今度は・・はずさねぇぜ?」
レイは少年のちょうど死角を狙い撃った。

「甘い!!」
だが少年はたとえ見えなくても、なんとなくの野生の感でジャンプしてかわした。

「確かにはずしたが・・終わりだぜ? 少年。」

少年が飛んださらに上に、なんとホープが飛んでいた。

「なっ・・」
「終わりだよ。」
ホープの両手に風の大きな塊が集まった。


「くらえ!! ウインドバーストぉぉ!!!」
ホープの手に集まっていた風の塊が放たれ、当たった少年はすごい勢いで落下し、砂の地面に大きく叩きつけられた。

「ぐっ・・・あ!!」

少年は気を失い、放たれた風の衝撃により砂まじりの風は広がり、四方八方に舞っていた。


「・・んで、連れて行くのか?」
レイはふうっと息を吐いて言った。

「もちろん。セリアさんに伝えて。ミッション完了って。」
少年を担ぎながらホープは言った。


「・・・了解。」
レイは空の飛行船を見て答えた。