複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第24話更新! ( No.40 )
- 日時: 2011/07/31 23:14
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第25話 「始まりの時 過去編(レイ編)」
あれから何日たっただろう・・・
いつもと変わらぬ日常が繰り返されてる。
あの事件から・・・何日たったんだ・・?
悲しみ、絶望、心の痛み・・・
あらゆる心の病が、彼をズタボロに傷つけた。
愛する者を奪い・・・
言いたいことも言わせてくれなかったこの世界を・・・
彼には愛することなんて・・・
ましては普通に生きていくことさえもできなかった。
ひたすら渦巻くこの思い・・・
吐き出すこともできなかった。
ある日、家のベットに寝ころんで、ひきこもるレイの前に・・
二人の人が訪れた。
その二人の内、一人の女性は言った。
「私はセリア。突然だけど・・・・私たちと来て。」
・・と。
レイはチラッと二人を見る。
・・冗談じゃない。
いきなりあらわれて、何を言っている。
レイはキッとにらむ。
その眼は・・すべてを憎むような目。
それを見たセリアはそっと口を開く。
「・・あなたはある事件で恋人を失った。違う?」
レイは驚いた。
なぜ・・しっている!?
こいつが・・なぜ!?
「あなたのことは町から聞きました。」
「俺たちがここに来た理由を話そう。」
もう一人の男性、ジークは口を開く。
「俺たちは・・・レジスタンス反対団体、ナイツオブピースだ。」
「レジスタンスから世界を守るための団体よ。まだ2人だけど。」
ジークとセリアは説明を続ける。
「そのためには、強いスピリッツを秘めた人間が必要なの。」
「そして俺たちは・・お前を一人目に選んだ。」
レイのキッとにらんでた目が少しずつゆるくなっていく。
「・・私の体はちょっと特殊なの。私はある範囲までのスピリッツの力を探知できます。あなたの心から、大きなスピリッツを感じました。」
セリアがベットの近くにしゃがみこんで、
「・・・スピリッツの力は心の強さ。心に何かしらの衝撃があったとき、人の心の力は覚醒する。あなたも・・そうなのね?」
セリアは優しく問いかける。
こいつは・・・知っているのか?
俺の・・この・・力を・・。
レイはすっと立ち上がる。
そして少し息を吸い、
「スピリッツ・・解放・・。」
レイの体から、赤いオーラが流れ出る。
「・・・やっぱり。スピリッツのコントロールが・・。」
「できてますね。色は・・赤のようだ。」
セリアとジークはそっと言う。
「・・この力はなんだ? ・・・これを使うと・・目がよく見える。」
「目?」
レイの発言にセリアは首をかしげる。
「・・ああ。・・はるか遠くまでな。」
「・・・視力の向上ね。」
「・・・!?」
セリアのつぶやいた言葉に、レイは疑問を浮かべる。
「あなたの能力は・・視力の向上よ。レイ・・。」
「・・能力?」
「お前がスピリッツを解放したときに現れる特殊能力のことだ。」
ジークの説明に、微妙な反応を見せる。
「ちなみに教えておくわね。オーラの色には意味があるの。」
セリアは説明を続ける。
「赤のオーラは{身体的機能の上昇}よ。」
「そして、白は{補助能力の追加}だ。」
セリアとジークはそれぞれ説明する。
「身体の機能のどこかが上昇するのがこの赤いオーラの特徴。」
「・・それ以外を白のオーラと思え。」
セリアとジークの説明を聞いて、レイが口を開く。
「・・そんなことは・・今はいい。」
レイは続けて言う。
「俺は・・彼女に言われた。この世界を・・変えてほしいと。」
「・・・・。」
レイの言葉に黙って耳を傾けるセリア。
「もう・・・繰り返したくねぇんだ・・・二度と・・。」
失うのは・・・・もうたくさんだ。
「俺は・・世界を変えたい。あいつらを・・・つぶしてえぇ・・!!」
グッとこぶしを強く握るレイ。
「・・・俺はあいつらを倒せるのか? 俺が世界を・・変えれるか?」
レイは真剣な表情で言う。
「・・あなた次第よ。私があなたをサポートするわ。」
セリアは言った。
「・・・上等だ・・。俺を・・連れて行きやがれ・・!!」
「・・いい覚悟ね。死ぬ覚悟は?」
セリアの問いかけに、レイは躊躇なく答える。
「ねえよ。俺は死なねえ・・。アイカの約束を・・果たす日まで。」
レイはグッと握ったこぶしをセリアたちの前に突き出す。
「俺の名はレイ。行こうぜ。・・・奴らを潰しによ。」
そして悲しみの青年は、今日も戦場を荒らす。
奴らを根絶やしにする・・・その日が来るまで・・・。
アイカ・・・・待ってろよ・・。
いつか・・・作ってやるから。
お前が望む平和を・・・俺自身の手で・・・!!!
だから・・・待っててくれ・・・・アイカ・・・。