複雑・ファジー小説

Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第25話更新! ( No.41 )
日時: 2011/08/02 00:48
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第26話  「殺し屋 前編。」


ピー、ピー、ピー!!
船全体に緊急ミッションの警報が鳴り響く。
作戦会議室に、船員が集められた。

「先に言っておくわ。これから行うミッションは・・・。」
集まった4人の船員は、セリアの話に耳を傾ける。

「・・・レジスタンスと関係ありません。」
セリアの言葉にしばらく沈黙する一同。
緊急ミッションだから、てっきりレジスタンス関連と思っていたため、一同は不思議に思う。

レイがおほんと咳払いをして、
「・・・・で、どういうことだ?」
と尋ねる。

「ある村からの依頼よ。周辺に山賊が現れているらしいの。」
「そいつらが村を困らせている・・と。」
「ええ。」
ホープが言うと、セリアがうなづいて答える。
「でもなんでわざわざそんな依頼受けるの?」
リフィルが質問すると、
「お金稼ぎよ。報酬がなかなかいい額なの。」
「・・金ですか・・やっぱり。」
セリアの答えにリフィルはため息をつく。

「ところで・・どこでそんな情報手に入れたんだ・・?」
アキトが首をかしげて尋ねる。
「ネットワークよ。最近、この依頼有名なの。何人も挑戦してるらしいけど、みんな失敗してるらしいの。」
「・・たかが山賊相手にか?」
「分からない。それは現場次第ね。」
セリアが言うと、「了解した。」とアキトは言う。

「とりあえず、現場に行ってみましょう。」
セリアがそういうと、船は着陸を始める。


着陸した後、4人は船から降りる。
「そこから北に1キロの地点が、もっとも多発している地域よ。」
セリアは通信機ごしに伝える。
「じゃあすぐ終わらしてしまおうぜ。」
レイが首をコキコキと鳴らして言う。
「みんな。油断はしないでね。」
「了解!!」
セリアが言うと、四人は目的地に向かって走り出した。


目的地に着くと、そこは依頼された村と大きな町をつなぐ一本道の間あたりの場所。
多分村から町、もしくは町から村へ送られてくる食料などを狙って襲うのだろう。
4人はあたりを見渡すが、山賊はおろか、人一人いない。

「・・・やはり、エサがいないとダメなんじゃないか・・?」
「・・言い方悪いよアキト。」
アキトの言葉に、苦笑いしていうホープ。
「ねえ。あれ見て!!」
リフィルが指をさすと、大荷物を乗せた馬車が来た。
「ナイスタイミング!! きっとあれだ。様子を見るぞ。」
レイが言うと、4人は草むらに隠れ、様子をうかがう。
しばらくうかがっていると・・
山賊が近くの草むらから勢いよく出てきた。

「・・・来た。あいつらだ。行くぞ!!」
レイは山賊の姿を確認し、馬車に向かって走り出す。

「食料もらうぜぇぇーーーー!!!」
山賊が馬車を襲い始める。
数は10人程度。
「よし。食料はもらった。逃げるぞ!!」
「ぐわっ!!」
「!?」
山賊が逃げようとしたとき、山賊の一人がレーザーを受けて倒れる。

「そこまでだ・・・山賊野郎。」
レイが次々と狙い撃ち、どんどん倒していく。

それを見た山賊の一人が逃げようとする。
だが、残っていたもう一人の山賊が目の前に立ちふさがった。
「どけよお前!!  俺は逃げ・・・。」
何かを言おうとする前に、立ちふさがった山賊は刀で仲間をさした。
「・・な・・・ぜ・・?」
バタッと山賊は倒れた。

(なんだ・・・こいつは・・? 仲間を刺しやがった・・・。)
レイは嫌な予感がした。
こいつ・・・何かが違う・・と。
いつの間にか、山賊はそいつ一人になっていた。

「やれやれ・・・使えないな。結局俺がやるのか・。」
残った山賊は、顔や姿を隠していたマントをとる。
現れたのはおじさんだった。

するといきなり、
「気を付けて!! スピリッツ反応よ!!」
セリアが通信機ごしに叫ぶ。
「まさか・・・こいつが・・?」
アキトは鞘を構える。

「俺はジョット。・・・殺し屋だ。元・・レジスタンスの兵士。」
「元レジスタンス兵!?」
リフィルは驚く。
「・・なぜレジスタンスを抜けた?」
不思議そうにアキトが尋ねる。

「・・俺は殺し屋。ただ殺しがしたい。レジスタンスなんかにいなくても・・殺しはできる!!」

「・・・ゲスが。」
レイはキッとにらむ。

こんなくだらない考えを持った奴がいるから・・・
世界は・・・変わらないんだ・・!!

最初は退屈そうだったレイの心に静かな怒りがこみ上げる。
「お前は気に食わねえぇ!!」
レイは強く言い放つ。

「ふん・・お前らも・・・殺してやるよ。」
ジョットは刀を向けて、そう言い放つ。

「・・・なんかよかった。退屈せずに済みそう。・・・でも。」
先ほどまでにこっとしてたホープの顔が真剣になる。
「ほんとにレジスタンスには・・・まともがいないね。」
ホープも戦闘態勢をとる。

「私も・・こいつは気にくわない・・!!」
リフィルも怒りをあらわにして言う。

「行くぞ・・・お前を・・・倒す!!!」
「かかってこいガキども。俺がいっぺんに相手をしてやるぞ!!!」

アキト達4人を相手に、ジョットは不敵に笑みを浮かべる・・。