複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第29話更新! ( No.45 )
- 日時: 2011/08/04 23:35
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第30話 「海。」
「ひゃっほーーい!!!」
船が近くの海に着陸した直後、黒い海パンを着たレイは勢いよく船を飛び出す。
そして、広く、きれいな海を目の前に思わず立ち止まりつぶやく。
「お前と・・・また行きたかったな。海に・・・。」
レイは微笑んで海を見つめる。
その後ろから・・・・
「レイ。隙ありだよ。」
「・・・・・・・・・は??」
レイが後ろを向こうとしたとき・・・・
ホープがドロップキックでレイを海へ蹴り飛ばす。
「おわぁーーー!!!」
バシャーーンと派手に音を立てて、頭から水に突っ込む。
「あははは。レイダサいね。」
茶色の海パンを着たホープは笑いながら言う。
「・・・あいつ大丈夫なのか?」
大笑いしているホープを見て、つぶやくアキト。
赤い海パンをどうやらレイから借りたようだ。
「それにしても・・・きれいだ。」
アキトは目の前の海を見て、純粋な感想を述べる。
「最近戦闘続きだったしね。これが・・・平和ってやつなのかな。」
「・・・そうかもな。」
無愛想に返事をするアキトに、ふっと笑みをこぼすホープ。
「きっと・・いつかはこんな毎日が来る。僕は・・・そう信じるよ。」
ホープは笑って言う。
その言葉にアキトは「ああ・・。」と小さくつぶやく。
「みんなお待たせ〜♪」
リフィルを先頭に、フェリス、セリア女性組が着替えを終えて出てきた。
リフィルは黄色のビキニを、フェリスはピンクのワンピースのような水着、セリアは紫のビキニを着ていた。
「ヒュー♪ いいねえ。」
「・・・レイ!?」
いつの間にかビショビショになったレイがホープの横に立っていた。
「うん。さすがだ。」
「・・・何がだ?」
うんうんとうなづくレイにアキトは尋ねる。
「いやいや。ちょっとしたお胸のお話ですよ。」
「・・・アキト。聞かないほうがいいと思うよ。」
レイのちょっとしたお話に、ホープはあきれた表情で言う。
「そう言うなよ。よし!! アキトに俺の特技を見せてやろう。」
「・・・?」
レイはアキトの隣にしゃがんで、アキトの身長に合わせる。
「よおく聞いとけよ。俺の目をなめんじゃねえぜ。」
「・・・何をだ?」
妙に目をキラキラさせて言うレイに、アキトは尋ねる。
「ずばり・・・バストのサイズを当ててやる!!」
「・・・・・・・はあっ・・。」
レイの言葉に思わずため息を吐くホープ。
「・・・バストってなんだ?」
「胸のサイズだ。よく聞いとけよ。」
「・・・アキト。聞かなくてもいいんだよ?」
真面目に聞こうとするアキトにホープはつっこみを入れる。
「いくぞ・・・。」
レイはすうっと息を吸い込み。
「まずは・・・セリアはズバリGカップ!! さすがだ。」
「・・・・・・・?」
うんうんと納得するレイの横で首をかしげるアキト。
「次はフェリス。Bカップだ。まだ発展途上かな。」
「・・・GとかBってなんだ?」
「・・・別に分からなくても将来的に問題ないから大丈夫。」
勝手に暴走するレイに対し、アキトの疑問に静かに答えるホープ。
「ラストはリフィル。・・・Dカップだ。これも発展途上だな。」
「・・・それは分かって意味あるのか?」
アキトの質問にレイは「もちろん!!」と強く肯定する。
「将来胸が大きくなった時に、まるで親が子を育てた時みたいに・・・感動するのさ。」
うんうんとレイが頷いていると・・・
「何を言ってるの? レイ♪」
後ろから・・黒い怒りのオーラを放つリフィル。
「!!!!」
レイははっと我に返る。
おそるおそるリフィルの顔を見る。
「誰が・・・・発展途上だって?♪」
リフィルの顔はにこにこしている。
だが・・・レイは悟る。
そして周りも悟る。
レイ・・・・・・さようなら♪
「俺はまだ死にたくねええええぇーーー!!!」
レイは猛ダッシュで逃げる。
「待てええぇぇぇーーー!!!」
リフィルはそれを追いかける。
「アキト・・・助けてあげたら? リフィルからレイを。」
「この場合は・・・自業自得ってやつじゃないのか・・?」
「・・・ご正解。」
ホープは大声で笑う。
二人の追いかけっこしている姿を見て、セリアとフェリス、見張りのジークも笑う。
その姿につられて、アキトもくすっと笑う。
二年前・・・あの事件以来の久しぶりの笑み。
あの時失った・・・感情の一部。
「楽しい」という大切な感情。
今だけは・・・・心のそこから笑える。
この感情・・・大切にしたい。
これからも・・・ずっと。
「・・・ふっ・・・・はははっ。」
アキトは笑う。
こんな日々が、ずっと続けばいいのにと願いながら・・・。
第一章 (戦争鎮圧編)
完