複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第32話更新! ( No.50 )
- 日時: 2011/08/30 23:29
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第33話 「ゲイボルグ」
視点は変わり・・・
周りには何もない場所。
あるとすれば森ぐらい。
近くに町はない。
だがこの場所には、この世界の治安を守る団体の本部がある。
その本部は、なんと地下にあるのだ。
だから誰にも知られていない。
レジスタンスですら知らないのだ。
この団体の名は「ゲイボルグ」。
目的はこの世界の治安を守ること。
民衆を守るのも彼らの役目。
だが、それは昔のこと。
レジスタンスという強大な国家が現れる前の話だ。
レジスタンスは世界を武力で支配した。
本来、これを止めるのも彼らの仕事。
だがゲイボルグにはレジスタンスほどの武力は持っていない。
逆らうこともできなかった。
できることは、レジスタンスに支配が届いていない少数の町の治安を守ることぐらいだった。
・・・つい最近までは。
最近、彼らはレジスタンスの武力的支配を少しずつ鎮圧し始めた。
レジスタンスを退け、支配から解放するために。
では、なぜいきなりレジスタンスと対等に戦えるような力をつけたのか。
それは、新しくリーダーになったある一人の男がゲイボルグをまとめ上げたからである・・・・。
最近ここに入ってきた新人がいた。
彼女の名前はマリ。
髪は長めの黒のストレートで、眼鏡をかけている。
「ええっと・・・どこだろう。」
彼女はキョロキョロとあたりを見渡して言う。
今彼女がいるのは、地下にある本部の中。
探しているのは司令室。
司令室には、最近リーダーになった人がいる。
その人にあいさつに行くようだ。
しかし彼女は新しく入ってきたばかりで、あまりこの基地の地形に詳しくない。
一応地図は渡されているが、広すぎてわからない。
「・・やっと見つけた。」
探し出すこと30分、ついに司令室の前にたどり着いた。
「どんな人なんだろう・・。」
一応、噂には聞いていた。
この団体は総人数は約100人ぐらいで、それをまとめあげるすごい人。
だが、噂によると・・・
悪魔の様なスピリッツを持つ。
悪魔の様な強さを持つ。
悪魔の様な人格を持つ。
・・・らしい。
「・・・私、大丈夫かなぁ。」
はぁ、とため息を吐く。
「よし!!」と顔をパチンと叩き、トントンと軽くノックをする。
「失礼します!!」
そして勢いよく扉を開ける。
その瞬間・・・
「っつ!!」
何かが自分の顔の横をすごい速さで通り過ぎた。
おそるおそる自分の横を通った何かを確認すると・・。
「な・・・ナイフ!?」
思わず体が固まった。
「おいおい。そんなことで固まっててどうすんだぁ!?」
マリはハッと我に返り、声がした方向を見る。
そこには、不敵に笑う男が立っていた。
髪は白銀。ところどころがクセ毛になっている。
ポリポリと頭をかきながら、
「新入りだなぁ? まあ座れよ。」
マリは小声で「失礼します」といい、中に入る。
「あの・・・さっきのは?」
マリが質問すると、
「趣味。」
・・・と即答された。
「どうも、初めましてぇ。名はベルゼブル。一応ここのリーダーだ。」
ベルゼブルはダルそうに言う。
「わ・・私はマリです。あの・・・どうお呼びすれば・・?」
「・・・勝手にしろぉ。」
「じゃあ・・・ベルゼさんで。」
マリはにこっと笑う。
ベルゼはため息をつき、椅子に座る。
「・・・お前弱そうだなぁ。まあ分かってることだが。」
「・・へ?」
ベルゼは近くにあった資料を手に取る。
「スピリッツはまだ解放しておらず、身体能力もダメ。ドジ。まあ頭はそこそこかぁ。」
「な・・・なっ・・。」
ベルゼの的確な指摘に、顔を赤くして動揺するマリ。
「・・ま、んなことはどうでもいい。おい。」
「は・・・はい!!」
ベルゼは真面目な表情でマリを見る。
「お前・・・なぜここに来たぁ?」
「えっと・・あの・・・その。」
マリは落ち着いて、真剣な表情で、
「私・・・世界を変えたいんです!!」
そう強く言い放った。
「・・・」
それを聞いたベルゼは少し無言になる。
「といっても、私弱いんですけど。」
「んなことはいい。わかった。」
と言うと、ベルゼは立ち上がり、
「おい。マリ・・・だったかぁ?」
「は・・はい?」
マリは驚いたようにベルゼを見る。
そしてベルゼは不敵に笑い、
「お前は今日から俺の側近として働いてもらう。いいな? 拒否権はねえぞ。」
・・・・・・・・・・。
「えええぇぇぇーーーー!!!!!」
マリの悲鳴は、地下深く響いた・・・。