複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第33話更新! ( No.53 )
- 日時: 2011/08/31 23:35
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第34話 「悪魔。」
「・・・って、なんで私が側近?」
ベルゼのところにあいさつに行った日から三日後、マリは疑問に思った。
側近といっても、ほとんど雑用。
司令室の掃除がほとんど。
マリは自分が側近に選ばれた理由も分からなかった。
「あの!!」
マリは椅子に座って、のんきに漫画を読むベルゼに声をかける。
「なんだよ?」
「私は・・・なんで側近になったんですか?」
マリは真剣な目で質問する。
「簡単だろうがぁ。」
「えっ!?」
漫画から視線を外し、ベルゼはマリを見る。
「気に入ったからだ。てめぇの願望にな。」
「・・・?」
ベルゼの言葉をいまいち理解できないマリ。
「てめぇは世界を変えたいんだろぉ?」
「は・・・はい。」
「・・・そういう奴が好きなだけだぁ。」
ベルゼはそういうと、また漫画を読み始める。
「・・・えっ? あの、どういう・・・。」
ピーピーピー!!!!
「なっ・・!!」
いきなりの警報に驚くマリ。
「ちっ・・・・仕事か。」
ベルゼは読んでいた漫画を投げ捨て、
「おいマリィ!!」
「は・・・はい!!」
ベルゼは頭をポリポリと書き、
「いいか。この警報は俺たちの仕事の合図だぁ。」
「わ・・・私はどうすれば?」
驚きあわてるマリに、ベルゼは一つの武器を渡す。
それは・・・・マシンガンだ。
「使い方は知ってるなぁ?」
「・・はい。」
「俺はのちに合流する。てめえは先に現場の仲間と合流しろぉ。この施設の出口に兵士を待たせてある。行けぇ!!」
「は・・はい!!!」
マリはマシンガンを持ち、勢いよく司令室を出て行った。
「さぁ・・・・・久々の仕事だぁ。俺を楽しませろよ・・・。」
マリが基地の外に出ると、
「こっちですマリさん。あれ? 隊長は?」
兵士の一人が、手招きをしている。
「後で遅れてきます。ところで・・・それは?」
マリが指さしたモノは、何かの装置のようだ。
「これはワープホールです。ところどころの地域にこれが置いていて、これを通じて移動することができます。」
「なるほど・・・。」
「急ぎましょう。」
マリは装置の中に入り、兵士が機械を操作する。
「お気を付けて!!」
兵士が大声で言い、敬礼する。
マリも敬礼をしようと思ったが、気付けば彼の姿はなかった。
どうやらすでに自分はワープしたらしい。
「よし、行くぞ!! 初仕事・・・頑張ろう!!」
マリは自分自身に気合いを入れ、現場に走り出した。
現場はすでに騒がしくなっていた。
爆発音、銃の発砲の音などで。
「ハッハァーー!! 俺の能力の前ではすべて無力だぁーー!!」
高らかに笑う一人の男。
どうやらこいつが今回の標的らしい。
「ツツジの様子はどうだ?」
「駄目です。連行される気も、反省する気もないようです。」
「・・・・ちっ!!」
岩陰に隠れつつ、ツツジと呼ばれる標的の様子をうかがう兵士たち。
「我々では・・・。勝ち目がありません!!」
「厄介だな・・。土を操る能力。」
兵士たちもお手上げの状態だった。
「ゲイボルグ」は昔の団体。
スピリッツを解放できる人はここにはいない。
「なんだよ? 俺の能力の土に手も足も出ないか?」
ツツジは右足を上げ、地面を踏みつける。
すると、ところどころの地面から岩が突き出るように出現し、兵士たちを攻撃する。
「ぐうぅぅーーー!! なんて広範囲な能力・・・。」
ほとんどの兵士たちが傷つき、限界が来ていた。
「ちくしょおおぉーーー!!!」
兵士の一人がマシンガンを連射する。
「とどかねえよ。」
ツツジは自分の周囲に岩を出現させ、攻撃を防ぐ。
「これならどうだぁぁ!!!」
兵士がツツジに向け、手りゅう弾を投げる。
「無駄だ。馬鹿が。」
ツツジは手前に岩を出現させ、手りゅう弾の爆発を一歩も動くことなく防いだ。
「どうだ? もうあきらめろよ。お前らがレジスタンスにかなうわけねえだろうが!!」
「そんなことありません!!!」
「・・!?」
ツツジは声がした方向を見る。
そこには息を切らし、かすかに震えているマリの姿があった。
「止めてください!! 危険です!!」
一人の兵士がマリに大声で忠告するが、マリはゆっくりと近づき始めた。
私が・・・・・やらなきゃ。
みんなを守らなきゃ。
怖くても・・・・敵わなくても・・・・。
「やあぁぁぁーーー!!!!!」
マリは叫ぶと同時に、持っているマシンガンを連射する。
だが、当然届くわけはない。
「うぜぇぞ!!!」
ツツジはマリの真下の地面から岩を出現させる。
「がっ・・・!!!」
その岩がマリの腹部に直撃し、上に突き飛ばされた。
やっぱり・・・・・だめか。
私・・・・・弱いね。
誰も守れなかった・・・・。
悔しい・・・・!!
・・・・・・・・・・・・・。
「あれ・・・・?」
おかしい。
確かに上に吹き飛ばされたのに・・・・。
地面に叩きつけられた感触が・・・・ない。
むしろ・・・・温かい。
「おい。」
「あ・・・・」
目を開くと、そこにはベルゼがいた。
どうやら宙に浮いたマリを、優しく受け止めてくれたようだ。
「無理してんじゃねぇ。バカヤロー。」
ベルゼはゆっくりと地面にマリをおろす。
「あの・・・ベルゼさん・・・・・。」
「・・・・そこで見てろ。」
「・・・えっ?」
ベルゼは首をコキコキと鳴らし、
「こっからはぁ・・・・・俺の喧嘩だぁ!!!!」
私の噂では・・・・
彼は悪魔のように強くて、悪魔の様な人格を持っているらしい。
だけど、私には・・・・
「私には・・・・どうしても悪魔には見えませんよ。ベルゼさん。」
そんなつぶやきなど聞いておらず、ベルゼは目の前の敵に、ただ不敵に笑いかける・・・・。